第8話

注意:少し激しめな性描写が書かれておりますので、苦手な方は読まない方を推奨します。


「せんぱーい!お風呂沸いたんで、先入って平気ですよ。」


斗真は、どっかの洗面所から出てきて、俺に言う。


「今日寒かったんで、あったかくしときました。」

「何度?」

「43℃です。」

「お前は俺の好みをよくわかっているな。何なんだお前。」

「恐らく、先輩と好みが似ているんでしょうね。」


なんなんだこいつ。なんで俺の好みまで似てるんだよ?

生き別れの双子かよとか思ったがこんなやつと生き別れの双子とか言われたら

精神的に無理なんだが。


「あ、そういえば、俺は服どうすればいいんだ?」

「俺の服貸しますよ。」

「今回ばかりは仕方ない。借りさせてもらうな。」


斗真は、じゃあ洗面所に一式置いておきますねと一言言った。


自分の家以外でお風呂に入るのはいつぶりだろう。

小学生以来だろうか。俺が小学生の頃は親の都合でよくばあちゃんの家に泊まっていたから、自分の家のお風呂に入ることは多くなかった。


「置いといたんで、いつでもどうぞ!」


斗真は俺の顔をあまり見ずに、そう言った。


「ありがとう。」


俺がそう言うと、斗真はハッとした顔で、胸を押さえている。


「な、なんだよ。」

「いや…先輩からちゃんとありがとうって言われたことなかったので、改めて言われて心臓を撃ち抜かれました。」

「はぁ…あのさぁ…」

「すみません、俺ごときがこんなこと言って…。迷惑でしたよね…」

「お前といるとなんか…俺の調子狂うんだよ…」


俺は首に手をやったまま、斗真の顔を見れないでいた。

そんなとき、斗真は少し笑っていた。


「何笑ってんだよ。」


斗真が静かになったのでどうしたのかと様子を伺おうとしたときにはもう遅かった。


「…先輩、耳真っ赤。」

「…んっ」


そう耳元でささやかれたので、変な声が出てしまった。


「先輩…耳、弱いんですね…ふふ、可愛い。」

「やめ…ろ…耳元で…囁くな…」


斗真はどんどん俺を床へと押してくる。

いつもなら、こんなやつ、秒で振り払えるのに…


「(力が…入んね…ぇ…)」

「…先輩」

「ふ…はぁ…はぁ…」

「…もしかして、興奮してます?」

「お前ごときに…俺が興奮なんて…するはず…ない…だろ…!!」


斗真は、本当ですか?ここは正直なのに?と言って俺の息子をさする。


「おま…やめっ…!」

「ココ、満足させてあげないとですね。」

「嫌だ…だめだ…お前…やめろ…!!」



***



「せんぱーいおはようございます!お体大丈夫ですか?」


斗真がエプロン姿で俺に話しかけてくる。


「大丈夫じゃねえよ。誰のせいで俺の体ボロボロにされたと思ってんだ。」

「でも気持ちよかったでしょう?先輩、可愛い顔とかわいい声で見たことないくらい喘いでましたよ。しかも、腰めっちゃ動いてましたし。あ、覚えてます?最中に3回くらい先輩…」

「もううるせえ!蘇らせるようなこと言うんじゃねえ!!今日バイトなくてよかったわ!!」

「じゃあ先輩…」


斗真はエプロンを脱いで、寝室に入ってきた。


「今日、お昼まで一緒に仲良くしませんか?」

「は?」

「…また可愛い先輩、見たいなぁ…」


また耳元で囁かれたので、俺の体は反応してしまった。


「昨日の夜いっぱいヤっただろ…!」

「可愛い子には旅をさせよ、ですよ。ほら、力抜いてください。」

「ふざっ…けんな…!」


このあと必死にもがいたが、結局斗真に昼まで抱かれた。



***


「なあ、斗真。夢中になるのはいいが、飯だけは焦がすんじゃねえよ。」

「すいません…作り直します。それとも、俺のこと食べます?」

「ふざけんじゃねえ。」


斗真が笑うので俺も一緒になって笑ってしまった。

まさかなぁ…俺の初体験が男なんてなぁ…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る