好きでいてくれれば

@yuasa556

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   好きでいてくれれば


『今日は、20時にうちでいい?』そういつも通りのLINE 私たちは、毎週金曜の夜に決まってどちらかの家に行く関係、そう友達以上恋人未満


 バイトを上がったら化粧直しもせずにいつも通りコンビニに行っていつも飲む酎ハイを何本か 買って彼の家に向かう家に到着したらいつも通りシャワーを借りて彼の家に置いてある部屋着に 着替えて彼にしか見せないのにわざわざ化粧をして彼が待つ部屋に入って買ってきた酎ハイを飲 みながら少し会話をして少しお酒が回ってきた所でベッドでそのまま彼に抱かれるその後彼は、 決まってベランダに出て覚えたてのタバコを吹かす私は、彼が吹かすメビウスのオプションパー プルの匂いがこの上なく好きだった。

今日もその匂いを嗅ぎながら彼がいつも寝てるベッドでスマホを触っていたらベッドから香水 の匂いが漂ってきた私は、シャワーを浴びてるし彼も香水なんて付けない仮に香水を付けてたとしても明らかに女性が使うような甘い香りだったそんな事を考えてると彼がタバコの火を消し て部屋に入ってきた2人で簡単なシャワーを浴びていつも通り彼のベッドで2人で寝た。


 彼とこのような関係になってからもう半年程経つ初めて知り合ったのは、サークルの新人歓迎 会の飲み会だった1年生の彼が2つ上の私にいきなり話しかけてきたのだ趣味やお互い田舎から 上京してきた事など話が弾むと共にお酒も進んで気付いたら2人で抜け出してたこの時は、これ だけで終わりにしようと決めてたなのに彼の慣れないキスぎこちない手付きなどがとても愛おし くなってたそんな事を思ってる時に彼から連絡が来た『良かったら2人で飲みに行きませんか?』特に予定も無かったので簡単な返信をし待ち合わせ場所に行った。 彼は,待ち合わせ場所で1人でスマホを触りながら待ってた少しイジワルでもしてやろうかと

思い後ろから脅かしてみたら想像以上に良い反応をしたのを今でも覚えてる。

2人で飲んでるうちにあの時のようにお酒が回って私は,この日彼と2度目の夜を明かした。そのうちわざわざ飲みに行く事よりもどちらかの家で宅飲みをしてそのまま体を重ねる都合の


良い関係になってた。そんな都合の良い関係の私達にもお互いの為の3つのルールがある。

 1つ目は、会うのは、週に1回金曜日だけお互いの1人の時間を大切にするため


 2つ目は、お互い大学で会ってもただの先輩と後輩として接する変な噂を立てられても困るから


 3つ目は、行為中に好きとか愛してるとかの愛情表現をするのは、だめ、だって私たちは,あ くまで恋人でも無ければただの都合の良い関係だからだ。


 今日は、木曜日私は、久しぶりに1人で渋谷で買い物をしてたそういえば明日は,彼の誕生日だったなでも恋人でもない私にそんなの関係ないと自分に言い聞かせても無意識のうちにメンズ 物のアクセサリーや洋服を眺めてた。彼にとても似合いそうなネックレスを見つけた通り過ぎようとしたがいつも飲みに行くと年下 の彼が背伸びしていつも私に財布を出させない事をふと思い出した。


これは、あくまでいつものお返しだと言い聞かせて


そのネックレスを私は、購入した買い物も終わった所で家路につこうと歩いていたら覚えのある 匂いがすれ違った人から香ってきた私は、振り返ると彼とその隣には,女性が居たのだ2人は、 私に気付く事も無く手を繋ぎ楽しそうに会話をしながら人混みの中に消えていった。


 その次の日金曜日なのに彼からの連絡は、無かった自分でも訳が分からないくらいに涙が溢れ てきたこの時気付いた、いや気付かないフリをしてた私は、体を重ねる度に彼を好きになってい た毎週当たり前のように会っていた彼が突然私の元からいなくなって初めてこれまで騙し騙しの 私の我慢が限界になった。


 彼と会わなくなるうちに私もいよいよ卒業が近くなったそんなある日『久しぶりにうち来ない?』と彼からのLINE正直に嬉しかった私は,すぐに返信をしたいつも通り金曜日に約束を 取り付けいつもの酎ハイを片手に彼の家に向かった家に着くと

 彼は,すでにお酒が回っていたみたいでシャワーに入る間もなく半ば強引に私を押し倒したいつもの彼と違うのがすぐにわかった 行為中に私の耳元で『好きだった』や『愛してる』と囁いていた行為が終わると彼は,タバコも 吸わずに糸が切れた人形のようにすぐに寝てしまった。

 彼女でも無い女の前とは、思えない程無邪気に眠っている小さな机の上には,あの日と同じメビウスのオプションパープルが雑に置かれている私は、それを手に取りベランダに出た慣れない タバコを吸うとあの日と同じ匂いがしたこの煙たい匂いが好きだったのに何故か物足りないすぐ に火を消して彼の寝顔にキスをして帰り支度を進めた小さな机の上にかつて半ば強引に預けられ 合鍵とハンカチを置いて私は、部屋を出た部屋を出る時に私は、呟いた















『好きでいてくれれば』


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