This is a nightmare

黒咲蒼

第1話




これは、現実なのか…?


目に映る、僕の両手は赤い液体でベタベタだ…


これは、夢なのか…?


目の前には赤い液体を流し、倒れる男…






僕は、一度目を瞑って………



















そして、目を開けた。


目の前には見慣れた天井があった。




そして、部屋に転がる、動かない男と、赤いナイフを見て、これが現実なのだと理解した。


そして、この現実から逃げてはいけないのだとも、理解した。


僕は、部屋を出て、一階に行き、朝食を作っているお母さんに一言、声をかけた。


「お母さん、人を殺しちゃった」



お母さんは泣き崩れた…


でもね、お母さん、あの男はね、僕のお父さんに自らこの世を去ることを選ばせて、ぽっかり空いたお母さんの心につけ込んで、お母さんをぐちゃぐちゃにするつもりだったんだよ。


あぁ、でも、始まってまだ10数年の僕の人生はもう終わりなのか。



ごめんね。お母さん泣かせるつもりはなかったんだよ。


でも、こうするしかなかったんだよ。


明日の今には、僕はここにいないかもしれない。


それでも、お母さんは生きてね。






そうして、僕は、殺人犯になった。























数ヶ月後、心が壊れてしまったお母さんは、自らこの世を去った。






僕は、その日のうちに少年院のキッチンからナイフを拝借して、この世を去った。








最後に僕が見た景色は、いつかの夢の光景だった。





倒れている男は、僕だった。

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