友達との大切な時間
翌日は快晴、子供達は村の端にある川へとやってきた。この川、元々自然に出来ていたものなのだが、村人達により改良を加えられている。というのは、子供達だけで遊べるように底に水深を変えないように石の台を設置、流されても柵が付けられているので遠くまで流されることもない。言わばプールのようなものだ。そんな技術を良く考えたものだと、人々は言うのだが…これも立案はカルなのである。カルは頭が良いというか…不思議な考えが頭に浮かぶ子供だった。川の水は充分だったが、遠くまで汲みに行く人の事を考えて、何処を掘れば水が出てくるのか、狩人の直感でも解らないような事をカルは解ってしまう。子供らしくない…そう口々に囁かれた事もあったが、カルはその不思議な力を皆のために使うのだから、カルはカルなんだと皆が理解しているので、奇抜な提案も受け入れる準備を普段からしている。勿論、カルも浮かんだイメージを解りやすく説明しているわけで…考えが纏まるまでは誰にも話さないのだが。話が脱線したが、川に来ているのは村の子供全員、6人だ。カル、アティア、リリィ、シューギ、グーン、ミリア。カルが8歳でアティア、リリィが12歳、2人は頼れるお姉さんだ。シューギとグーンは6歳、まだ甘えたい盛りの男の子。ミリアはまだ3歳で、一番年少の皆の妹分だ。そんな6人で川遊びをするのだが、何をするかは大抵は決まっている。水かけだ。この世界、上流階級しか水着を持っていないので、下着姿、普通の服で水に入り、みんなで作ったお手性の水鉄砲を使って水のかけ合いが行われる。ミリアの分はカルが作り、予備も何本か用意していたりする。お昼まで水をかけあい、びしょ濡れになった服を乾かしていると、話をし始めた。
「カルくんの水鉄砲、凄い威力だったね。」
「そうですねぇ、ミリアちゃんも凄く楽しかったぁ?」
「うん、ミリア、これ好き!」
「ははは、カル、モテモテだなぁ。」
「羨ましいですよ。」
そんな話をしてくる友人達、そんな横でカルは火を炊いている。服の乾燥と、もう1つは食事の準備だ。子供達だけで火を使うのは危ないかもしれないが、普段から仕事もしている6人だ、信用はされている。アティアとリリィがナイフで野菜などを刻み、ミリア以外の男の子でお湯とパンを焼く。連携が取れていて、直ぐに昼食が完成した。サンドウィッチとハニードリンクだ。みんなで美味しくいただく。ミリアだけはまだ小さいから齧り付く事ができずに小さく切ったものを口に運んでいる。
「美味しい!」
「パンがサクフワで、野菜もシャキシャキですぅ!」
「いくつでも食べられるなぁ。」
「カーラさんのパンはいつも美味しいですね。」
「そうだね、母さんに皆が喜んでたって伝えていくよ。」
「カル、もっと頂戴!」
そんな話をしながらお互いを大切に思っている6人の幼なじみ達だった。
弱ったドラゴンを助けたら、恩返しをしてくれた話〜契約成されて強くなった〜 藤本敏之 @asagi1984
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