3話

六路木「君の瞳の奥に悲しみの星が瞬いてる…」


萌菜を見ながらそう言って

今度はあたしの方を向き、


「こっちも可愛い。目が繊細に輝いてる」


私に向かってそう言ってきた。





「綺麗だ……」




女の子が言われて嬉しいことを

サラッと言ったこの男。



六路木「ちょっとこっち見てみて」


カメラを構えるようなポーズをするその人に

じろじろ見つめられる。



その様子を見ていた瞬が

飛び込もうとしてきたのが見えたけど、

あえなく要くんに止められる。


いまだに私たちを見つめて、

何かいい案が浮かんだように顔を綻ばせるこの人。



そういえば、どこかで見たことが…


確か…映画部の部長"六路木ろくろぎ れん"


高校3年生だったっけ?

先輩だ。



すると、六路木先輩は指をパチンと鳴らし








「君たちに決めた!」






2人「えっ?」






「僕の映画のヒロインになってよ!」




そう言った。







2人 「えっ…えっ……えぇーーー!?!?!?」


萌菜 「お断りしますっ!」


  「私も!断らせていただきます!」




六路木「あー、でもこの映画の主人公は

1人なんだよね…」




そう呟いたのを聞いた途端声を上げ、





「あー!私が降ります!

私に主役なんて無理ですから!」


そう言ってやった。



「そっか。じゃあまた今度の機会に」

と言われたからとりあえず笑って返しておいた。



すると向こうの方から、

もう1人男子生徒がやってくる。




田代「おい六路木!

何で松井を主役から降ろすんだ

俺は彼女のイメージでこのシナリオを書いたんだ!」


なぜか、とても怒っている。


六路木「松井は役のイメージに合わない。

   主役は彼女で行く」



そう言って、萌菜を指した。



松井って…確か映研の看板女優で

すごく綺麗って有名な人だ。




田代「だったら俺は降りる」



怒っていた男子生徒は、

台本を投げつけそう言った。





六路木「勝手にしろ」







そのあと2人はなにかコソコソ話して、

怒っていた男子生徒はその場を去った。

















…なんか嫌な予感がする


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