第13話
そういって私は配信の電源をつけるのだった。
電源をつけて待機していた人達のコメントが流れる。
”お?始まったぞ”
”春香ちゃんの隣にあの子がいるぞ!?”
”あの日以来待ちかねたよ”
”2人の天使が画面に....”
「みんな!おはよ〜今日はね予定を立てた事を、私の恩人とやっていくよ!!」
「―――よろしく」
私は少し素っ気なく挨拶を交わす。
薙からも春香ちゃんからも、普段通りで大丈夫と言われていたので、そうかわすと
”うわぁぁぁ!!しゃ、喋った!!”
”やべぇ...ドキッとした”
”素っ気ないのになんだか...いい”
”前の楽しそうな声と大分違うけどいいね”
”可愛い( ˶'ᵕ'˶)”
そんな非難するようなコメントは流れず、寧ろそれがいいというリスナー立ちまで出てくる。
それに対して私はネット民の対応力凄いな〜なんて思う。
「じゃあね、まずは分からないっていうリスナーさんもいると思うから私から自己紹介するね!私はダンジョンでどんなモンスターがいるかやリスナー達の参考になるように配信活動をしている。探索者の春香だよ!よろしくね。」
そう自己紹介する春香ちゃん場慣れしていて堂々と挨拶をする。その姿に私は感心しつつ話を進める春香ちゃんを見る。
「そして、みんなも気になっているであろうこの隣で、何?と言わんばかりに興味無さそうにしている彼女こと――」
「あ〜、どうも春香ちゃんの配信で晒されてしまったSランク探索者をしている。カオルです。これだけは言わせてもらいますが、ネット民の皆さんが、拡散して大変なことになったので、やむなくこうして配信をする事になりました。ええ、遺憾ながら。」
「ちょっと!?そんな言い方するの!?あんなに一緒に準備して楽しそうにしてたのに、それは酷いよ〜カオルちゃん!!」
「いや、別に春香ちゃんを攻めてる訳では無いし、それにまぁ、うん後半からは、その...楽しかったよ((ボソッ…」
「カオルちゃん....♡」
そんななんとも言えないやり取りを交わす私たちにコメント欄では
”地味に被害を主張してくる当りこのロリっ子カオルちゃん私たち煽ってるよ”
”2人の掛け合い見てると、尊さを感じる”
”いや、すまんて”
”だけど、こうして出てきてくれたことはお兄さんは喜ばしいよ”
”いいゾ^〜もっとやれ!!”
”初手から新手なの流石はSランク探索者というべきなのか?”
”可愛ければ全て良し!!”
コメント欄では、そんな事で盛り上がりを見せていた所で私は、コメント欄出来になった文字を拾う。
「そういえば、みんな知ってるんだよね。私の年齢とかって?まぁ見た目が確かにこんなだから、言われるのは分かっていたけど、出来ればその...配信の時は控えてくれると嬉しいな。それ以外ならどんな呼び方でもいいから。」
私はコメント欄に映るロリっ子という文字をみてちょっとだけ、この姿になって弄られていたので、控えてもらう様にリスナーたちにいう。
”なら配信中はカオルちゃんって呼ぶよ”
”確かに、本人からしたら嫌なことかもな”
”わかったよカオルちゃん!!”
”かおるんって呼ぶのもありなのでは!?”
”皆が紳士で草”
”探索者界隈民度高杉www”
”ここか、一種のオアシスかぁ〜”
そんななんともできている人達だとわたしは思ってしまった。まぁ後から何処かで呟くのだろうとは思うけど、配信内では皆紳士淑女でいてくれるから、一安心です。
「うんうん!みんなの対応力が素晴らしいね!流石は私と一緒に楽しくなってきたリスナー達だよ。」
”任せろ!春香ちゃん!!マナーを守らない奴らは後で粛清して置くから”
”そうそう!春香ちゃんには俺らも助けられてるからね!当然だよ”
”だかしかし裏では...”
”よし!お兄さんとこっちで
”また1人俺たちの元に...”
”致し方ない、これは洗礼と言うやつなんだ”
何やら不穏なコメントが流れていたけど、見なかったことにしよう。うん
それから、暫くしてダンジョンに入って、雑談しながら進んでいく。その道中言わずもがなモンスターがくるので、ちょちょいと片付けて行く私と春香ちゃん。
ええほんとにすぐ倒せてしまうから困らりものなのだ。本当にAAランクのダンジョンなのか?なんて思う私だけど、コメント欄を見る限りそんなことは無いようで
”いやいや、なんて一撃で急所に当ててんだ?”
”倒し方が作業のそれ”
”淡々と話しながら2人とも何事も無かったかのようにするの辞めよ?”
”ここってAAランクのダンジョンだよな?モンスターの速度より見えないってマ?”
”カオルちゃんが退屈そうなのが気になる”
”Sランクダンジョンで暴れてた時よりもなんか淡白だな”
”カオルちゃんは
驚愕と言ったコメント欄が、流れ始めたので、私は淡々とその事について話始める。
「えーとですね。基本的にAAランクとかは1回潜ってそのまま終わるので、楽しみとかはどれだけ早く終わるかのみですね。Sランクダンジョンよりもドロップ率はいいけど在り来りなものばかりなのでそもそも上に行くと、潜ることすらないですし、それに強いモンスターと戦うのが、私好きなのでそういった意味でも皆さんが多く入っている所は、行きませんね。」
「そんなパワフルなことしてたんですね。そういえばあの『黒竜の巣』でのあの後ってどうしてたんですか?聞こうと思っていたんですけどタイミングがなくて」
そういって話題を変えようとしてくれる春香ちゃん、私はそれについて悩みながらもリスナーの前で何していいのか考える。
そうしているうちにこのダンジョン『樹海の静域』の中間地点について私は意を決してあの後の話をし始めるのだった。
◆◇◆◇◆◇◆
お読み頂き、ありがとうございます!
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〈あとがき〉
投稿頻度が遅くなり申し訳ない(´・ω・`)
投稿ペースはまちまちになりつつありますが、出来るだけ早めに投稿できるようにしていきまする。
次回ですが、回想シーンとボス部屋到達まで投稿予定ですのでよろしく_(._.)_
それでは(´・ω・`)/
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