第21話 王立第三騎士団
「これは・・・・・・」
王国を代表する王立騎士団―――――その第三騎士団の10番隊隊長であるロゼは、観測士から指定された場所へ向かい、調査したところ、目的のアイテムは既に誰かに取られた後だった。
「どうします?ロゼ隊長」
「どうするも何も、探してみましょう・・・・・・手ぶらで帰っては団長からお叱りを受けます」
ロゼの後ろに控える若い隊士は怪訝な表情を浮かべるロゼに対してどうするか?と話しかけた。
既に周囲にはロゼの部下達が目的のアイテムを探しているが、パッと周囲を見渡した所、既に目的のアイテムは存在しないだろう。
つまり、今回上から受けた指示は未達成のまま報告しなければ鳴らなかった。
その事まで見通せたロゼは、はぁと小さくため息をついた。今回に関してロゼの過失は無いが、それでも団長から何と言われるか・・・・・・今から王都へ帰ったところで怒られるのは間違いないので、少し気分が暗かった。
「こんな場所に我らよりも早く到着して
「少なくともサレドの騎士団では無理ね、著名な冒険者も居ないハズだし・・・・・・分からないわ」
コルテス山脈の真下には、大洞窟が存在しておりその歴史は古く相応に魔物も強力だ。
ただ幸いなことに、この洞窟に住む魔物たちは地上へ出てこないので手を出さなければ危険度は低い・・・・・・ただ今回、サレドの
街周辺で異変が起こっているという報告を受けたので、ロゼはこの地へ調査へ向かうことになった。
本来であれば、王国の最高戦力である王立騎士団が出張る案件では無いが、この異変の元凶は高確率で軍事物資である
一応、この地の領主には話を通してはいるが・・・・・・何かと秘密が多い案件でもある為、色々と手間暇を掛けたのだが、こうやって第三者に掻っ攫われたとなれば、相手に対して少し恨み言も言いたくなった。
「
「このまま引き下がる訳にもいかないし、お願い出来る?トーマ」
トーマと呼ばれた若い隊士は、了解しましたとロゼの命令を受けると頭を下げてその場を立ち去った。
既に洞窟内の魔物は排除しているが、念のためにトーマの他に数名の隊士を傍につけて外へ向かわせる。
その間、ロゼはまだ取り残しの
ルイナ達は出発してから四日ほど経過したが、サレドの街は未だに封鎖が続いていた。
主な理由として、シズが殲滅した魔物達以外にも合流していない魔物がまだ街の周辺に多く存在しており、それを騎士団を中心に討伐しているからだ。
それでも段階的に封鎖は解除されているようで、物資を運ぶ商隊を中心にサレドの街へ入る者たちが増えていた。
「おかえり、ルイナ、アルノ」
「ただいま戻りました」
ただ冒険者は未だ出入りが出来ないので、ルイナ達は監視の目が緩い場所から忍び込み、タクマとシズが待つ宿へと戻った。
街に残っていた二人は、ずっと部屋の中でごろごろしていたらしく、最初べったりとくっつきっぱなしだったシズもある程度甘えん坊期は治まっているようだった。
「原因は解決できた?」
「はい、無事に」
長女として、ルイナは父親であるタクマに甘えることが無いが、今回は流石に色々と仕事をしたのでタクマの横にペタンと座る。
そのルイナの行動に、タクマは一瞬?と疑問符を浮かべたが、少し経ってルイナの行動の意味が分かるとクスリと小さく笑いながら彼女の頭を撫で始めた。
「それじゃあ街の封鎖も直ぐに解除されそうだね、話だとあと二日ぐらいは掛かるみたい」
ルイナ達が山へ出向いている間、タクマは街で情報を集めていた。べったりとくっついてくるシズが寝ている間に、彼女たちでは出来ないことをやろうと、色々と行動していた。
「この街の領主は随分と慎重な方なのですね」
「うん、話を聞くに王都から第三騎士団も来ているみたい、もしかしたら山の方で出会わなかった?」
「あぁ、あれが・・・・・・」
タクマの言葉に、ルイナはコルテス山脈の渓谷で見かけた騎士団を思い出した。
「見かけることはありましたが、接触はしていません」
「そっか」
タクマはルイナ達が丁度山へ向かった直後に、王都から騎士団がコルテス山脈へ向かっているという話を聞いたそうだ。
なのでもし二人が騎士団と接触してしまったら・・・・・・と思い、不安になっていたのだという。
そんなタクマの心配に対して、ルイナは問題なかったと説明して、コルテス山脈について話し始めた。
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