第10話
狗神仁郎は帽子を被り直す。
そして影の出来た目で、嬬恋のれんを見る。
「逆に聞きますけど」
「嬬恋さん、あんたは」
「俺とどんな関係になりたいんですか?」
その質問に、声を潰される。
予想外に返された言葉に、嬬恋のれんはしどろもどろとした。
「っ、それは、そりゃぁ…」
「ま、まぁ、責任は取って欲しい、けど、な?」
「そ、それをあたしの口から言わそうってのか!?」
責任。
そう言われて、狗神仁郎は頭を悩ませる。
「…じゃあ、結婚して下さい」
狗神仁郎はそう言うと、中指に嵌めていた禍遺物を取る。
嬬恋のれんの手を掴んで薬指にはめ込んだ。
「わぁ…」
薬指を見て目を輝かせる。
「…ってバカッ!!」
そして我に返り、指輪を外して狗神仁郎に投げつけた。
「馬鹿野郎ッ!こんな所でする話じゃねぇだろうが!!」
投げられた指環が狗神仁郎の頭に当たる。
ころころと転がる指輪を、狗神仁郎は追い出した。
「俺の『
黄金に輝く指輪を拾う狗神仁郎。
それと同時、狗神仁郎の足元で何かが光り出した。
「あ?」
そうして眩い光と共に、狗神仁郎は消え去った。
それを見ていた嬬恋のれんは、顔を蒼褪めている。
「おい…おい、おいッ」
「転移用の罠じゃねぇかッ!!」
狗神仁郎を追う為に、嬬恋のれんも転移用の罠を踏む。
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