第5話

今日も仕事である。

大迷宮『奈落迦』。

この地に潜る者たちは、皆、根源は一つに収束する。

最下層に眠る、幻。

其処に到達した者は、あらゆる願いを叶える事が出来る。

これは伝説では無い、現に一人だけ、願いを叶えた者が居た。


千年以上続く奈落迦にて、願いを叶えた者はただ一人。

路は嶮しく、魔物は出る、罠も存在する。

それでも、足を止める者が居ないのは、願いを叶える為に戦うからだ。


『奈落迦』に挑む『非生アスラ』の願い。


そして…回顧屋・嶺蕩は、その手助けをする組織。

奈落迦に存在する呪詛を宿す禍遺物を回収し。

その力が必要な人間に売買するのが仕事だ。


必要であれば、邪魔な存在をも屠る。

それが、回顧屋・嶺蕩の仕事。


狗神仁郎と、嬬恋のれんは。

大迷宮・奈落迦にて禍遺物を回収する仕事をしている。

基本的に、二人一組で活動するのが基本だった。


嬬恋のれんは、基本的に酒を飲みながら仕事をしている。

それを許可されているのは、彼女が強いからだ。

禍遺物を複数所持して、戦闘を行う嬬恋のれん。


必要ならば同じ非生すら殺す残虐性を持つ。

なのだが…今日は少しばかり違っていた。

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