第11話

佐夜鹿紗々の迷宮。

基本的に、大迷宮・奈落迦は一つだけなので。

個人が所有する迷宮、と言う意味合いでは無い。

あくまでも、佐夜鹿紗々が開拓したルート。

それを個人の迷宮として指す事が多い。


「狗神さん、先ずは貴方の実力を見せて頂きます」


甲冑を装着した佐夜鹿紗々。

かしゃかしゃと音を立てて迷路を歩いている。

狗神仁郎は、彼女の後ろを歩きながら話を聞く。


「この迷宮付近は、鬼武者なる劫傀が出現します」

「装備品は鬼殺し、稀に鬼神殺しを所持した鬼武者も出ます」

「攻撃手段、パターンは伏せますので」

「今、開示された情報だけで、勝って下さい」


そう言われて、狗神仁郎は背中に手を回す。

腰ベルトに挿した禍遺物を取り出した。


「了解、出て来た相手を叩き潰せば良いんだろ?」


と狗神仁郎は軽く言った。

そう簡単なものでは無いが、口を出す事はしない。

ただ、狗神仁郎の実力を見定める。


その為に、佐夜鹿紗々は刀を抜いた。

刀身の峰と、薙刀の峰を合わせて、鋼と鋼を打ち付ける。

その音が響き出して、迷路の中を駆け巡った。


「音で誘き寄せます」

「準備をしていて下さい」


と、佐夜鹿紗々が腕を振るいながら言うのだった。

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主人公を管理する系ヒロインに愛されて仕方が無い 三流木青二斎無一門 @itisyou

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