第7話

紫煙が部屋の中に充満する。

その部屋の中は、あらゆるアンティークが置かれていた。


部屋の奥、机と椅子。

其処に座る、遊女の様な姿をした女性。

何本の簪を頭に突き刺した彼女は、この回顧屋嶺蕩の店主だ。

煙管を口にしながら、紫煙を撒き散らす。

淡い瞳で狗神仁郎と佐夜鹿紗々を見つめていた。


「サーシャとワン…」


微笑みを浮かべながら、回顧屋店主の墓瀧びきだきが話し出す。


「お疲れ様です、墓瀧さん」

「鍵を貰いに来ました」


佐夜鹿紗々がそう言うと、墓瀧は机の棚に手を伸ばした。


「はいはい、今回はサーシャの鍵で迷宮に入るの?」


その質問に、佐夜鹿紗々は頷いた。


「はい、彼の能力を見極める為に」

「なので、今回は禍遺物の回収ではありません」

「ご了承のほどを宜しくお願い致します」


と、丁寧に佐夜鹿紗々は言った。

それを聞いた墓瀧は頷いてみせる。


「勿論っ、だけど、気を付けなさい」

「サーシャ、貴方の迷宮だけど」

「ワンには厳しいかも知れないから」

「気を付けて行って頂戴ね?」


と、そう言った。

無論であると、佐夜鹿紗々は頷くと。

墓瀧は、彼女に一つの指輪を渡すのだった。

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