第6話

「では、これより仕事をします」


佐夜鹿紗々はそう言った。

狗神仁郎は、朝のあれは仕事じゃないのかと、思っていた。

回顧屋・嶺蕩へと入る。

そして、廊下の奥へと歩いていくと、エレベーターに乗る。


「…」


狗神仁郎は、佐夜鹿紗々の服装を見た。

基本的に、和服であると思っていた狗神仁郎。

佐夜鹿紗々の姿は、白衣に赤い袴を着込んだ巫女の姿。

それに加えて、黒漆塗の兜を着込んだ、重装だった。

手には薙刀、腰には刀、背中には弓と矢を背負っている。


「何か?」


鬼の様な仮面を装着している佐夜鹿紗々。

視線に気が付いて狗神仁郎にそう聞いた。


「いや…別に」


その恰好が、何時もの彼女と相まってギャップが凄まじいと思った。

だが、それを口にする事は無かった。

口にした所で、何を言われるかなど分かったものでは無かった。

だから、無口を貫く。


そうこうしている間に、エレベーターは降下していき。

そして、到着した。


エレベーターの扉が開かれる。

その先には部屋があった。

回顧屋・嶺蕩の店主が居座る部屋であった。

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