第5話
服を着替え終わった所で、朝食だった。
狗神仁郎は綺麗になった床に座っている。
テーブルの上に、食事が置かれた。
「やはりと言いますか」
「炊飯器が無かったので」
「トーストにしました」
「フライパンでも作れますので便利ですね」
そう言って、狗神仁郎の前に出される食事。
トーストに、目玉焼き、ベーコン。
そして、ドレッシングが掛けられたサラダだ。
「全部食べて下さい」
「これからは」
「貴方が口にする全ては私が管理します」
冷めた口調でそう言うと合掌を行う。
狗神仁郎もそれを見て、同じ様に手を合わせた。
「(花露辺さんが言ってたのは、こういう事か…)」
狗神仁郎はそう思いながら飯を喰らう。
食パンを食べて、ベーコンを喰らっている。
「…美味い」
単純な料理。
だと言うのに、一級品だ。
市販で作った筈だろう。
なのに、どうしてこれほどまでに味が際立つのか。
佐夜鹿紗々の方に顔を向ける。
彼女は狗神仁郎の視線など気にせず食べている。
その食べ方は、口を小さく開けて、齧る様に食べていた。
リスの様で可愛らしいものだと、思わず狗神仁郎は思った。
「…?なにか」
視線に気が付いて、佐夜鹿紗々はそう狗神仁郎に聞く。
「…いや、なんでもない」
狗神仁郎は誤魔化す様にそう言った。
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