第2話

後日、早朝。

部屋の中で寝ている狗神仁郎は、朝の光と共に目が覚める。


「うぐぁ…?」


閉まりっ放しだったカーテンが開かれていた。

射し込まれる光によって瞼の奥の瞳が焼かれている。

普段は閉めているのだが、何故、カーテンが開いているのか。

狗神仁郎には不可解な事であった。

だが、理由はすぐに、声と共に聞こえて来る。


「おはようございます、狗神さん」


名前を呼ばれる。

その声を共に、狗神仁郎は目を覚ました。


「えぁ…さ、佐夜鹿…さん?」


朧気な目で、狗神仁郎は彼女の姿を捉える。

佐夜鹿紗々は割烹着を着込んでいた。

これから掃除でもするのだろうか、髪を纏めている。

ゴミを見るかの様な視線で、狗神仁郎を見ていた。


「酷い有様ですね…まったく」


嫌気を覚えた表情を浮かべる佐夜鹿紗々。

身体を起こす、狗神仁郎は、彼女の顔を見た。


「…え?なんで、居るんだよ」


狗神仁郎は、目を擦りながらそう言うと。

適当に、床に落ちていたズボンを掴む佐夜鹿紗々。

それを、狗神仁郎に向けて投げる。


「取り敢えず、下着一枚は頂けません、履いて下さい」


そう言われて、顔面に当たったズボンを掴む。


「先ずは、一時間程、外で運動でもしててください」


頭巾を取り出すと、それを頭に巻く佐夜鹿紗々。


「掃除をします」


そう言って、狗神仁郎は自らの部屋から飛び出された。

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