第3話 「ドラフト」そして、「LAW -NEUTRAL -CHAOS」の属性を変えるイベントの、きびしさ。最終的に、マジでスカウトされてしまったようです。

 「邪教の館大学でのうさわ話」が、いつまでも、耳に残る。

 俺は、これから、どうなってしまうのか?

 もう、強くなれないのか?

 消えてしまうのか?

 アイドルたちの、ように?

 どうしよう。

 消えたアイドルっていうのは、「LAW -NEUTRAL -CHAOS」の属性を変えながら生きているんだと、思っていた。

 だったら、俺も、属性を変えながら生きのびてやるしかないのか?

 「…」

 「でさ、サトウ?」

 「毎日のように見ていて、消えたアイドルのその後について、だったな」

 「ああ」

 「お前、それを知っているのか?」

 「ああ」

 「…」

 「TVやネットから、消えてだな。サトウなら、どうする?」

 「属性を変えてみる」

 「やっぱり、そう思うか」

 「TV画面では見ないけれど、舞台女優になりましたっていう感じになる人も多いんじゃないのか?」

 「うん、まあ、クラスチェンジのようなことも起こるだろうな」

 「クラスチェンジ、か…」

 「良いか、サトウ?」

 「何?」

 「強い子は、強いんだ」

 「え、何だよ?」

 「これまでとは他のルートでも活躍しはじめる子が、いるからな」

 「他のルート?」

 「そうだ」

 「…?」

 「LAW -NEUTRAL -CHAOSの属性は、いくつものイベントで、変わる。変わってゆれて、最終ルートが決まっていく」

 「LAW -NEUTRAL -CHAOSルート?」

 思い出した。

 そして、今、わかった気がした。

 友人の言っていたルートというのが、俺でいえば、「頭の中の世界」のことなんじゃないのか?

 この、アイドルの子が出てくる世界だ。

 けれど…。

 「何だって、アイドルの子が、俺の頭の中に現れなければならないんだろうな?同じアイドル男性の頭の中に現れるのでも良かったはずだが…?」

 どうする?

 元アイドルの女の子が、ニコニコと、笑い続ける。

 ロング…とまで言えるのかわからないが、やや長めの茶色がかった髪を、キュッと、頭の後ろで結んでいた。俺の目を、真っ直ぐに見ている。

 そうして、ゆっくり、しゃべりはじめる。

 「良かったね、サトウ君?あなたは、見事に、ドラフトにかかったんですよ?もう、疲れるシューカツとかはしなくて、良いんですからね?」

 ウインクを、してきた。

 投げキッスまで!

 こちらとしては、天にも上りそうだった。

 「悪魔的アイドル」

 そう呼んでも良さそうな子に、まさか、こうまでされてしまうとは。

 ドキドキの連続魔。

 おっと。

 連続魔は、ちがうゲームか。

 「プロのスカウト!悪くはないね!」

 俺は、確信していた。

 今の俺の感覚は、天界レベルなんじゃないのか?

 ドキドキ感と、ビクビク感と。

 そのときだ!

 だれかが、俺の名前を出しはじめた。

 これが、意外なことにつながっていく。

 「 3丁目に住む、軽高電算部出身の、サトウ君ですがね?」

 「はい、はい」

 「 3つの球団が、競合しておりますなあ」

 「おや。そうですか」

 「人気、ですなあ」

 な、何だって?

 俺は、悪魔たちに、そんなにも人気だったのか?

 「軽高のサトウ君、ですか」

 「注目の的になるのも、当然ですよ」

 「ひひ…。悪魔VS天使の罪を、犯していましたからね」

 ドラフト会場の空気が、引き締められる。

 「それでは、くじ引きとしましょう」

 ドキドキ感に、ビクビク感が止まらない。

 ここで、ある推測が立った。

 「悪魔ドラフト」

 それって、本当は、悪魔の力を超えるような人間を、引き入れておくイベントなんじゃないか?

 やられないよう、前もってスカウトしておくわけだ。

 このスカウトでいわれている「球団」が、どういうレベルでの「野球の球団」なのかは、いまいち、わからないままだが。

 俺の隠れる物陰に、勝利の声が響く。

 「…良し!私ですね!」

 だれかが、俺を引き当ててくれたようだ。

 「すごいぜ、俺!ドラフトを、勝ち抜いたんだ!」

 が…。

 これって、喜ぶところ?




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「LAW(ロウ)-CHAOS(カオス)-NEUTRAL(ニュートラル)なif転生?」 冒険者たちのぽかぽか酒場 @6935

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