第6話 三兄妹の次女と一緒に湯舟でふれあいリラックスタイムを過ごしてコイバナする喜び

「ねえ、おねえ」


 お風呂の件でお兄様とひと悶着があった後、エミちゃんが話しかけてきました。


「どうしたの? エミちゃん」


「一緒にお風呂入ってもいい?」


「えっ、ええ……!?」


 エミちゃんのまさかのお願いに驚いてしまいました。


「おねがい!」


「もちろんいいですよ」


 とはいえ断る理由もありません。


 可愛い妹に頼まれて断らない姉ではないのです。


「ありがと、おねえ」


***


 二人で着替えて、二人で湯舟に入りました。


 ちょっと手狭ですが、それでも気持ちいいです。


「なんかさー、おにい最近怪しいよね」


「……あ、怪しいですか?」


「あったりまえじゃん! あんなに必死にお風呂一緒に入りたがるとかマジあり得ない。

 例えばわたしがお風呂に一人入ってたら勝手に入ってきそうなんだもん! 正直怖いよ」


「……そうだねぇ……そうかも……」


「でしょ??」


 確かにお兄様の様子がおかしいように感じます。


 様子がおかしいのは確かにあるけれど……。


 ある意味いつも通りにも見える気がするし……。


 判断に迷うところです……


「おねえもおにいがおかしいって、そう思う?」


「……わ……わかんないなぁ」


「ふぅん」


 エミちゃんは、わたしに背中を向けました。


「え、エミちゃん……? もしかして怒ってるのかな……?」


「……えい!」


「きゃ!」


 何とエミちゃんは足をピンと伸ばして、小さな背中をわたしの胸に押し付けたのです。


 わたしを背もたれに、湯舟にゆったりしています。


「そういや、おねえとお風呂入るのひさしぶりだね」


「そうだね。エミちゃんが中学生になってから初めてだね」


「だったら楽しまなきゃだめだね」


 ニコリとエミちゃんが笑います。


「おねえはおにい以外に好きな人いるの?」


「お兄様以外に好きな人……わたしはお兄様一筋なので、居ないよ」


「まぁおねえはそうだよね……なにがいいのか分かんないけど」


「エミちゃん……?」


「なんでもないよおねえ! おにいは幸せ者だねえ全く!」


 正直、わたしはエミちゃんが羨ましい……


 毎日お兄様とゲームして、お話しして、構ってもらえて……


 ちょっとだけ妬いちゃう……


「あ……そういえば、エミちゃんは誰か好きな男の子とかいるのかな?」


「好きな男? 居ないよ」


「あら? 男友達いなかったっけ?」


「友達として話すぐらいだって。好きな気持ちとか全く沸かない」


 エミちゃんらしい回答です。


「実はエミちゃん、陰でモテてるかもね」


 意地悪っぽくいうわたし。


「ないない! あってもお断り!」


「えー、エミちゃん可愛いのに」


「そうかなぁ」


「少なくとも、わたしやお兄様はそう思ってるよ?」


「うげ、おねえはともかく、おにいは御免だね」


「わたしほめてるのに……」


「く、あはは」


「うふふ」


 わたしたちは笑いました。


「あたし、おねえのこと好きだよ」


「わたしもエミちゃんのこと好きだよ」


 姉妹で仲良く過ごすのでした。

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