スピンオフシリーズ(それぞれの道 )

それぞれの道 スピンオフ版


卒業打ち上げの帰り道

愛佳と詩織は徒歩で帰る途中に

高関の街並みを歩いていた。


詩織

終わっちったね。


愛佳

うん、終わったね。


詩織

3年間

お疲れであった。


愛佳

何それ?


詩織

当初の目的は果たしたね。


愛佳

そうかな?


詩織

脱モブキャラ宣言!

まさか、こんなにもスムーズに

達成出来るなんて思ってなかったよ。


愛佳

そうかな?


詩織

そうだよ!


愛佳

脱モブキャラ宣言ね。

モブキャラって何だろう?


詩織

なんだろうね?


愛佳

初めからモブキャラなんかは

居なかったのかも?


詩織

えっ?

愛佳さん?

何故にそう思う?


愛佳

だってさっ?

その人がこの世の中の

主人公でそれぞれを生きてる。

その中では自分が見る世界が

全てで世界は回って居るんだから

モブキャラなんて存在しないと

思わない?


詩織

なんかさ!

まなっち!

哲学してる(笑う)


愛佳

今日、みんなで打ち上げして

笑って、終わって

それぞれの道へ

みんな旅立ってしまう。

もう二度とその時間は戻らない。

大切な思い出のページになるのかなって?

そう思わない?


詩織

よくそんな恥ずかし事

言うね。


愛佳

恥ずかしくなんかない。

このままずっと3年生のままで

居たかった。

こんなに楽しい学院生活は

終わりにしたくないなって

思わない?

(泣き出す愛佳)


詩織

おいおい

今更、このタイミングで泣くんかい?


愛佳

だってさ!

もうみんなに会えないんだよ!


詩織

それは?

仕方ないじゃん。


愛佳

仕方ないじゃんじゃーない!


詩織

大学になればまた、

楽しい事があるよ!


愛佳

楽しい事ってなにさ?


詩織

楽しい事は楽しい事だよ。


愛佳

それ答えになってない。

(橋の上で立ち止まる愛佳)


詩織

あーもう〜

調子狂うな!


愛佳

それに、何でアメリカ留学するの?

しーちゃんらしくない!

大学もずっと一緒に行くと思って居たのに

狡いよ。


詩織

まなっちさ!

もう私が傍に居なくても

1人でやって行けるだろ?

それに、大学って言っても

聡も居るしさ

玲奈も百合だっているだろ。

何かあったら皆が、また守ってくれる

だから、私はやりたい事やる為に

アメリカ留学を決めたの!

(春の夜風に髪が靡く)


愛佳

それはそうだけど、

やりたい事?

そんなの無いと思った。


詩織

失礼な!

(私だって夢があるの

橋の上の車騒音でその言葉は

愛佳へは聞こえなかった。)


愛佳

何か言った?

聞けえない!


詩織

何でもないよっ!


愛佳

また、そうやって誤魔化す。


詩織

誤魔化してなんか居ませんよーだ!

(橋を渡り切り愛佳の家までの長い時間

歩いた様な気がした。)


愛佳

着いちゃった!

寄って行く?


詩織

遅くなるから帰るよ。


愛佳

そうか〜


詩織

それよりさ

4月かは何着て行くの?


愛佳

私服だもんね。


詩織

あ〜めんどくさい!


愛佳

そうだよね。

制服の方が楽だもんね。


詩織

つーかさー

まなっちは沢山、服あるじゃん

私なんか、あんましないし。


愛佳

わたしだってそんなにはないよ。


詩織

まー、8月末までは、同じ大学なんだから

そう暗くならずに

気楽にいこうぜ!


愛佳

それはそうだけど、

あっ!じゃーさー

明日、服を買いに行こうよ。

どうせやる事もないし


詩織

いいね。

んじゃー朝、迎えに来て。


愛佳

何でわたしが迎えに


詩織

車、来たんだろ。

置いてあるし


愛佳

先週、届いたの


詩織

赤いクルマでちっこいし

まなっちらしいね。


愛佳

いいでしょう。

シマリスってい言う名前にしたんだ。


詩織

シマリス?なんじゃそれ?

何で名前なんか付けるのかな?


愛佳

いいじゃん。

可愛い名前で生き物見たいで

いいでしょう。

それより

しーちゃんが車で迎えに来てよ。


詩織

残念!私は車は持ってませんよ。


愛佳

お母さんの借りれば?


詩織

残念!母は仕事で使ってますよ。

いいわ、

チャリで来るから

そんで持ってそのシマリスさ買い物

いこうぜ!


愛佳

あの?免許

取ったばかりで、運転は自信ないよ。


詩織

あっ!

(同じ教習所に通っていたので愛佳の運転技量を

分かって居る詩織だった。)

いいや、私が運転するか!


愛佳

それならいいよ。

じゃー明日ね。


詩織

はぁー

(ぼそりと言う)

やっぱりまなっちだ!


愛佳

何か言った?


詩織

なんでもないよ。

じゃーね、おやすみ。


愛佳

らじらーですっ!


こうして春休みの期間はやたらと

詩織を誘い車で買い物や近場へ

ドライブする毎日で、聡美もたまに

愛佳の運転する車に乗るが

直ぐに詩織へ運転を代わる様に

言うが割と頑固で運転を代わろうと

しない愛佳でした。


詩織

やっぱり私が居ないとダメダメだなって

思う詩織であった。





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