再会 弐

放課後になった。それにしても、転校生の風狸嵐ふうり らんだったか。妙に距離が近かった。なぜか手紙も貰ってしまった。初めて個人的に手紙を渡されたかもしれん。あれ?開かない。

そう思った瞬間だった。目の前から手紙が消える。

「お前、手紙貰ったのか、転校生に。」

「勝手に取るな。」

思わず抗議する。

「最近お前、調子に乗ってるみたいだからな。こうするんだよ。」

人の話を聞いてない。破ろうとする。

「ぐわぁー!」

弾かれた?まさかこれは!?

「どうした!」

手紙を拾う。誰か来たようだ。ここから去るか。

そのまま家に帰る。

「おかえり、みつる。」

「ただいま、母さん。父さんは?」

「陰陽師協会よ。はぁー、また雑用押し付けられるのかしら。いくらご先祖様の件があるからって。」

一応、私の家は私の前世蘆屋道満の家系らしい。血筋はたぶん弟の方だろう。私の家はちなみに分家だ。陰陽師協会に父は加盟しているものの敬遠されている。怨むのは勝手だが子孫まで巻き込むのはどういう了見だ。クズ晴明め!

「ほんとうにみつるの安部家嫌いは筋金入りね。」

どうやら顔に出ていたらしい。

「学校でいじめられてない?お母さんはそれがいちばん心配なの。一人でも仲良い子がいたらいいんだけど。」

「大丈夫、母さん。そんな心配しすぎ。」

「そう?おやつは部屋に置いてあるから。」

「分かった。」

部屋に入った。

まさか、この手紙が霊力を使って開けるものだとは思わなかった。あの子は何者なんだ?

それにこの開け方は知っている。よく、式神たちと連絡を取る際使っていたものだ。


//満さん。明日の8時図書館の前で待っています。あまり学校では話がしづらいので。

追伸:あなたの前世のことも含めてです。//


やっぱり知り合いなのか?おやつの黒砂糖のクッキーを食べながら思っていた。幸い明日は土曜日だ。時間も取れるだろう。

「母さん、明日8時に図書館行ってくる。」

「暗くなる前に帰るのよ。」

「わかってるって。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る