【あ】【明日】明日なんて来なければいいのに……

人によって感じ方が異なる。夢と希望、不安とため息が入り混じったもの。大人になるにつれ、金曜日の夕方になると夢と希望に満ち溢れ、日曜日の夕方になると絶望の淵に追いやられることが多くなる。名言「明日なんて来なければいいのに」



ショートショート


「どうしたんだ、そんなところに立っていないで、こっちに来なさい」

「何を言われても、私はここを動きません!」

「まあ、そう死に急ぐな。君はまだ若い。やり直しはいくらでもできる」

「大人はすぐそうやって屁理屈で丸め込もうとする。その手にはのりません」

「確かに、通りすがりの大人に何を言われてもピンと来ないかもしれないが、考えてもみろ。この高さから落ちたら、きっと痛いぞ」

「……そんなことわかっています!でも、私は絶望したんです!この世界にはもう夢も希望もないんです!お願いです死なせてください」

「そんなことを言うもんじゃない。どんなことだって、あきらめなければきっと希望は見えてくる」

「本当にそう思っているんですか?」

「ああ、もちろんだ」

「本当ですね?本当に何とかしてくれるんですね?」

「大人に二言はない。分かったならこちらに来なさい」

「分かりました。その言葉を信じます。私だって、本当は死にたくなかったんです」

「分かってくれたか」

「お騒がせして、すみませんでした……」

「分かればいいんだ。しかし、君のような若者がどうして死のうとしたんだ」

「私には未来を予想する力があるんです!」

「ほう、それはすごいな。ならば話は簡単じゃないか、君に未来を予測する力があるのなら、その未来を回避する方法を考えればいい。みんなで考えれば、どんな困難でもきっと回避することができる」

「分かりました。では、これから起こる事を全世界に伝えて下さい」

「よし分かった……全世界?」

「もうすぐ、地球に隕石が落ちてきます。山も川も海すらも破壊してしまうような巨大な隕石です。それが落ちてくれば、地球そのものがなくなる可能性もあります……」

「なんだって……!!」

「隕石衝突まであと一時間しかないので、自暴自棄になってました。もうどうすることもできないと思って……でも、今の言葉で希望が持てました!そうですよね。あきらめるにはまだ早いでよね!」

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