第25話 不思議の魔族のダンジョンへ
学園を飛び出して、国外へランデヴー。徒歩で大体2時間ほど歩いただろうか。
たどり着いたのは
「なるほど、ここがさっき話していた例の」
「そう。サイキン見つかってしまった
歩いている間に彼女が学園に来た目的を聞いた。一つは
「本拠地で改造魔族が暴れれば、小さなダンジョンの探索なんてアトマワシになるでしょう?」
とは本人の弁。
「このまま入っていいのか?」
「マサカ、正面から入ればスグに
少女は洞窟の規制線手前でその肉体を溶かし始めた。溶けた玉虫色の粘体はスルスルと地面に吸い込まれ消えていく。む、服もスライムで出来ているのか。それは実質全裸で外を歩き回っているのと同じではないだろうか。
「スライムの全裸が許されて私の全裸は許されない基準はなんだというのか。同じイキモノだろうに」
「
改めてスライムの染み込んだ地面を見てみれば、先程までなかった穴が空いている。覗き込んだ先は真っ暗で、かなり奥深そうだ。
「ではお邪魔します。……ああ、君のご家族に手土産を忘れてしまったな。そうだ、人間の服とかどうだろう。この上半身を埋める洗濯機柄は、なかなか珍しいモノだと思うが」
「珍しいモノが手土産になるなんて思っているの?感性は人間ヨリなのね。キライだわ」
なんか私、この世界に来てから幼い
「わかった、次があるなら温泉
「オンセンマンジュウ?」
「ルミエーラ王国は大きなお風呂で有名だからな、温泉
「珍しくなければいいわけじゃないわよ?マゾクゴコロのわからないヒトね」
「むぅ」
穴に落ちていく。人一人通れるくらいの狭い穴だと思っていたが、奥に入って見ればまるで月明かりに照らされた湖の中のようにぼんやり広くて明るい。けれど見えない底に身体は沈む沈む。
「垂直落下のはずなのに、随分とゆっくり落ちるんだな」
「クスクス、そうね。ナゼかしら?」
「……私の目にはこの穴が先の見えない漆黒に見えていたが、実際にはそうではないから」
「じゃあ、ナアニ?」
「
「セイカイ。つまらないわ」
クイズを当てたのに喜ばれないこの
まあ子供だからな、簡単に解かれて面白くないんだろう。仕方ない仕方ない。
「そしてこうして
「エエそうよ。でも、マオウの魔素は人間に見つかってしまった。ダンジョンから漏れ出ないヨウ、気をつけていたのにね」
「漏れ出ないように、か。魔族は
「……アナタ、ドコから知っていてドコまで知らないのかチンプンカンプンだわ。マオウの家族のコト、知っているんじゃないの?」
そこまで細かくは知らない。というか、いちいちケンサクする理由がない。だって。
「私は知ろうと思えば、この世界のことであれば大抵は知れるだろう。だが、信条として決めていることがあってね。極力女性には紳士でありたいと思っているんだよ」
「前後の文脈がマッタク繋がってない気がするのだけれど?」
「密接な関係がある。何でも知れてしまうから、極力女性の
「……」
例え相手が子供だろうと人外だろうと無機物だろうと『レディ』であるなら例外なく
なのに、婚前に相手の過去も未来も何もかも一方的に暴いてしまうなんて、そんなのちっとも真摯じゃない。
「互いが互いを知っていき、見えているモノ見えていないモノ、それぞれに惹かれて恋をして結婚する。だから私は結婚したい。紳士でありたいわけだよ」
「……」
「まあ流石に世界の危機とかと天秤にかけると若干世界の危機を優先しないといけないのでチラ見してしまうこともあるかもだが……魔王ちゃん?」
「アナタ……」
何だろう、じゅわりと。肉が焼けるような音がする。はて、一体何処から?
「あっこれ私の身体が溶けてるのか。え、何故?」
「アナタ、マオウだけじゃなくてマオウの家族もオンナノコとして見てるの!?あんな小さい子達を!?イヤッッッ!!!」
いや、ロリはもちろん成長してから求婚するに決まっているが。そういえば痛覚を元に戻すのを忘れていたな。まあいいか、次に女神に会った時に勝手に修復されるだろうし。
私は無限に溶かされては再生を繰り返し。ゆっくりゆっくり
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