第1章 魔王嘯く惑いの邪恋

むかしむかしのよこしまばなし

 むかしむかしあるところに1人の女神しょうじょがおりました。

 女神は1人の男に恋をしていました。好きで好きで好きで。くる日もくる日も女神しょうじょは男のことでクルクルくるくるまどいをまわすのでした。


 そんなある日。女神しょうじょは相も変われず、どうしたら男に自分を好きになって貰えるか考えて考えて考えておりました。


 そうしてふとはと気がついたのです。

 ヒトがヒトを好きになるのは何故?

 カオが好みだから?コエが綺麗だから?ニオイが良いから?セイショクに適したニクタイを持っているから?

 違う、違う。

 チイが欲しいから?トミが増えるから?メイセイが有るから?アンテイしたセイカツを永く続けるため?

 違う、違う。

 好きはそんな、肉欲的ではダメなのです。

 好きはそんな、打算的ではイヤなのです。

 

 相手の好きを好きになって。自分の好きを好きになってもらう。

 そんな、純粋無垢な酸素のように。飾らない好きをスキになるのです。


 女神少女はヒトではなかったけれど。

 ヒトのようにカレを好きになりたかった。

 そんな女神はよこしまに。勇者に焦がれた魔王のように。

 今日も今日とて男の好きを、夢見心地に聴くのでした。

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