第3話 パンティの導き

 私は再び目を覚ます、目覚めたそこは臨戦態勢だった。私を囲う人、人、人。完全に包囲されている。

 ここはどこなんだ。現状を――ケンサクする。

『ケンサク結果:OK』


「複合城砦ルミエーラ内部の主要機関の一つ。アルコバレル学園。現君主アミュレッタ・ブラン・ルミエーラと、竜族の長であり『255の命題クリティカル カウンター』の1人、『緋き消却のプリティヴァースキ現アルコバレル学園長』によって設立された対魔王用人材集中育成機関……か」

「なんだこの変態!?起きたと思ったら学園概要をそらんじ始めたぞ!?」

「俺は言ったぞ……こいつは一夜漬けで気が触れたタイプの入学志望者なんじゃないかってな!やっぱりな!」

「いやでもいくら緊張してるっても空からパンイチで試験会場に突っ込んでくるのはクレバーすぎねぇか?」


 どよめく群衆。なるほど、今日はこの学園の入学試験のようだ。そして私はこの会場に天空から入場エントリーしたらしい。


「なにぶん大型新人なものでな、面接は第一印象が重要だと聞いた。これは合格だろう。新入生代表の挨拶は必要か?」

「「「ガンギマリかコイツ!?」」」


 軽いジョークを交えながら親しみを込めて挨拶をしたつもりだったが、なんだかよりいぶかしげな目で見られている。

 さて、どうしたものかと片膝をついた態勢から立ちあがろうとしたその時。


「突如地上に無差別侵攻を開始してきた魔王軍に対抗するため人類と竜族が協定を組み、生み出された未来ある闘士達の学び舎、女神に選ばれたものしか立ち入れない聖域。我がアルコバレル学園の学園概要は、そのように続いていますの」


 道が開ける。否、人々が道を作る。その中から現れるはまばゆいばかりの一等星。

 それは、私の眼前で立ち止まり一言。


「貴方は女神に選ばれたと。私、ルミエーラ王国第二王女アイソレ・ブラン・ルミエーラに誓って言えますの?」


 星々を束ねたがごとき純銀に輝く髪に、瑠璃色の瞳をした少女がこちらを覗き込み、そう言った。


「……」

「あのぅ。聞こえておりますの?もしもし?」

「Oまかwa首傾げくそ可愛かよちょっと怒ってるね愛い愛いface近い近いねいい匂いknknこの出会いに感謝卍卍卍 The world is beautiful

 ふぅ、落ち着こう落ち着いた」

「……ええと、よくわかりませんが、落ち着いたならよかったですの。それで貴方は――」


 眼前の少女に片膝のまま左手を差し出す。

そう、このポーズが重要なのだ。そして自己PRは堂々と、自信を持って雄弁に。


「第一印象が重要なのは面接だけではなかったな。むしろ面接などというイベントは、この瞬間のための予行演習に過ぎないだろう」

「……何をおっしゃりたいんですの?」


 下腹部のむずむずが最高潮に達する時、私は溢れんばかりに発光する。


「ズキュン。なんてことだ、私のパンティは極彩色に輝いてしまったようだ。麗しき星の君、私と結婚マリッジしてくれないか?」


 その瞬間、私の一張羅パンティは鮮やかに100000lxたいようけんしたのだった。




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