第2話 女神と私
「……む、私、は……」
肉体機能確認
発声機能:有
視覚情報:鮮明
四肢操作:良好
『現状』ケンサク……『ケンサク結果:NG』
「ケンサク失敗。……ここは、一体」
横たわった身体を起こしながら、視覚情報マトメ。周囲は遮蔽物のない、明るいのに真っ黒な広い広い空間。私はここで1人、目覚めたらしい。
「『現状』はケンサクしても出てこない。では過去は?私は何故ここに?」
『過去』ケンサク……『ケンサク結果:NG』
呼吸を行うように、私は私に備わる機能を使用する。……あれ、何か、おかしいような。
「うーんケンサク失敗。というか、私の機能はこれだけだったか?……私、私は……む?」
ああ、そもそも、私は。
「あれ、私は何だっけ?」
今も過去もわからない。当然未来は迷子のまま。何にもない心は伽藍堂。
あるのはただ一つ、空を埋める渇愛の夢だけ。
「……むう。どうしたものか。ひとまず情報収集が必要だろう、辺りを歩いてみようか――」
「起きましたか?調子はいかがでしょう?」
「むむっ!?」
ばっと振り替えれば、そこにはいつの間にか少女がいた。
見た目は12歳くらいだろうか。
長く艶やかな白い髪が角度によって七色に輝いているように見える。綺麗なものだ。
しかし下着が丸出しなのはいかがなものか…彼女の服装はかなり際どいシースルーでこれでは着てないも同然だ。女性にとって冷えは大敵、厚着をした方が良いと思考する。
とりあえず状況が掴めない以上、少女に話しかけてみよう。
「君は――」
「こほん、ではでは早速〜」
少女は座り込んだ私の太ももにドサッと腰を下ろす。そのまま、上目遣いで。
「改めておはようございます。
そして、お帰りなさい。
――――――――――――――――――――
「つまりは――身も蓋もない言い方をしてしまえばぁ、
眼前の女神曰く。私は彼女の手違いで生前、意図せず死んでしまったため、ここに呼び出されたらしい。……のだが、困ったことに。
「ケンサク結果でNGが出るんだ。死ぬ前の記憶が出てこない。私は本当に死んだのか?」
「ああ、かわいそうなだんなさま。
「女神よ、聞いているか?」
「よよよ」と彼女は口に出す。私の上に座ったままで。
「まあそんなことよりだ女神。ひとまずどいてくれ。そして今の状況と加えて私自身の状態について、教え」
「そのお詫びと言ってはなんですが!なんと!
さらに今なら、だんなさまに
「……
知識に無い概念だ。すぐさまケンサクをかけてみる。
『ケンサク結果:OK』
どうやら、女神が創造した剣と
「うふ♡
「異世界で有用な能力を授けてくれたということか?ありがとう!!!……いや、少し待って欲しい。なら私の生前についての
「……
「なるほど、渡すつもりはないと言うことか」
「いぐざぐとりぃ♡お求めの品は品切れでーす。ざーんねん♡」
女神は、私の額をぐりぐり押しながら言う。
現状を整理しよう。今の私は生前の記憶が出てこない。そして記憶がないまま、剣と
例えるなら、主人公のパーソナルがわからないまま攻略本片手にRPGのプレイを強要されている……といったところか。
「ついでに言えば、
今の貴方を弄ると最悪、
何、私は
「ま、
「待て、まだ
「ではではだんなさま〜♪良い
周囲に尋常ではない速度で真っ白な見慣れない言語が飛び交う。
色々と言いたいことや、聞きたいことがまだある、が――
「エルミニイ、また会えるか?」
私の太ももに座りこんだ、幼い女神にそう問いかける。
「――さあ?貴方が、私の望む貴方になるのなら、また会えるかもですね?」
――かくして私は自分が何者なのかもわからないまま、夢を抱いて
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