女神解剖録〜転生ごっこと7つの恋〜

何屋間屋

序章 命短し燃やせよ愛恋

第1話 むかしむかしのこいばなし

 むかしむかしあるところに1人の女神せかいがありました。

 女神は1人の男に恋をしていました。好きで好きで好きで。くる日もくる日も女神せかいは男のことで頭がいっぱいでした。

 それはもう、海が全て干上がってしまうほどに熱く、陸に迷宮ダンジョンができるほどに悩み、イキモノがグチャグチャになってしまうほどに乱されて。

 女神せかいはいつしか、自分の生まれた理由やくめを捨ててしまいました。


 そうしてある日、ついに女神しょうじょは男に想いを告げました。しかし、男の答えは女神しょうじょの求めたモノではありませんでした。


 苦しくて、苦しくて、苦しくて。女神しょうじょは耐えることなどできませんでした。

 だから女神しょうじょは男を殺してしまいました。

 ああ、なんてことでしょう。女神しょうじょは取り返しのつかない過ちを犯したのです。

 その恋を終わりにすることさえ、もう出来なくなってしまったのです。


 女神しょうじょ痛みつみから逃げるように、自らのばつを7つに解体ばらばらしてしまいました。


 恋を知り愛を得たその初恋は左目に。

 愛を奪われ恋を弔ったその悲恋は右目に。

 伸ばす事をやめられぬその眷恋は左手に。

 掴めず伝えきれぬその恋々は右手に。

 嘆いても戻らぬその狂恋は左足に。

 永劫に叶わぬその邪恋は右足に。

 されどかけがえのないその諸恋は心臓に。


 魂だけとなった女神は憎くて愛しい自分せかいに別れを告げました。

 こうして世界は果てまでのろいに満たされてしまいましたとさ。

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