第3話 帰宅路

「梨田くん何?」

「あ、あのさ。」

「うん。」

「俺最近喋りに行けてないじゃん。」

「うん。」

「喋りたいの。」

「うん。」

「だからさ。今日一緒に帰ろ。」

「うーん。」

「ダメかな?」

「部活終わりまで待ってくれるなら。」

「本当?」

「うん。」

「やった。」


夜8時。優香の部活が終わった。

優香はバレーボール部に入っているらしい。部内でも優秀でとても強い。

最高の女性だ。


「ごめんごめん。顧問がブチギレて練習長くなっちゃった。」

「そうなんだ。大変だね。」

「いやそんなかな。どっちかっていうと楽しい。」

「へえ。まあ行こう。」

「そうだね。」


俺たちは歩き出した。優香のクラスに行って話した時のように2人で楽しく話した。

そして分かれ道で。


「俺こっちだけど…。」

「私こっちなんだ。」

「そっか。」

「楽しかったよ。今日。」

「うん。」

「じゃまた明日。」


そして優香は振り向いて歩き出した。

言わないと。自分の気持ち。


「あ、あの。」

「ん?」

「俺昨日喋れなくてすげえ辛かった。話したかったのに話させてくれなかった。だからさ…。」

「なに?」

「俺以外の男と喋らないでよ。」

「は?何言ってんの?」

「や、約束だから。」


そう言って俺は走り出した。俺の言いたいことは全部言えた。あとは告白するだけかな。

走って家に帰った。お姉ちゃんに抱きつく。


「一緒に帰れた。俺の思い言えた!」

「よかったね。」


お姉ちゃんは俺の頭を撫でてくれた。


「頑張れよ。」


お姉ちゃんはそう言って離した。


俺の部屋に入った。

言えた。ちゃんと言えた。好きなこと。苦しかったこと。嬉しい。これで一歩近づけたかな。

早く手を繋ぎたい。


ーーーーーーーーーーーーーー


大好きな優香と一緒に帰ることができた。

2日ぶりに喋れた今日は何て幸せなんだ。

好きなことや喋れなくて苦しかったこと。しっかり伝えられた。


きっと優香も照れてるだけだよね。

あそこですぐうんって言ってくれない感じ。


大好きだな優香。両思いだよねきっと。うれしいなあ。


早く手を繋ぎたい。


ーーーーーーーーーーーーーー


(優香side)


きもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもいきもい。


なんなのあいつ。付き合ってもないのに束縛?

もうきもいきもい。さっきからきもいしか言ってない。


あーあきもい。やばいまた吐き気が。


明日学校休むわー。もう。

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