髪の毛
まつりごと
髪の毛
私の友達は、よく私の髪の毛を欲しがる。
ブラシで髪をとかしている時や、髪を結んだ時などに落ちてしまう髪の毛を拾い
「これくれない?」と私にお願いする。
落ちてしまった髪の毛はゴミ同然。
私は「え、いいよ全然」と軽く返事をする。
すると友達は満遍の笑顔で大いに喜ぶのだ。
私はこの子ことは好きだけれど、この行動だけはいまいち好きにはなれなかった。
ある日、私は忘れ物を取りに教室に戻った。
教室の中を見るとあの友達が私の席に座っていた。
嫌な予感がし、私は外からその子の様子を見ることにした。
友達はロッカーから小さめの箱を取り出し、中から何かを摘んだ。
私の髪の毛だった。
そしてそれを口の中にいれ、幸せそうに口を動かした。
急に身が冷える思いがした。
(気持ち悪い...!)
気づけば私は教室を離れ、靴箱に向かっていた。
(気持ち悪い、気持ち悪い!)
あの子に会いたくなくて、顔を見たくなくて、走って自分の家へと向かった。
ちょうど川の上の橋まで来た時、
「待ってよ」
突如声がした。あの子だ。追いかけてきたんだ。
私は後ろを振り向き、その子を睨んだ。
彼女は、笑っていた。
いつも見ていた笑顔とはまるで違っていた。
「な、なんで、髪の毛、食べてたの?」
私は恐る恐る聞く。
「バレちゃったか〜」
彼女はまた笑った。
「一緒にいたい人の髪の毛を胃の中にたくさん詰めてから死ぬと、あの世でも一緒になれるんだって」
「だから、食べてたの」
彼女は淡々と言葉を発した。
理解が追いつかなかった。
「意味がわからないよ。」とこぼす。
「じゃあ、見せてあげよっか」
と彼女は言い、橋の手すりに立った。
「待ってよ!やめてよ!」
私は必死に止める。でも彼女はやめようとしない。
彼女はまた笑った。
「見てて」
次の瞬間、私の手を払いのけて川に飛び込んだ。
ドンと言う鈍い音がした。
恐る恐る下を見る。しかし、友達の姿はなく、毛の塊が落ちているだけだった。
「なんで、、、」
私は怖くなって橋から逃げようとした。しかし急に後ろから手を引っ張られ、その場から動くことができなかった。
私を引っ張る手をゆっくりと見る。
「一緒に、なろ?」
その手は頭から血を流し、目をギョロギョロとさせ、にっこりと微笑んでいる友達のものだった。
私はそこで、気を失った。
髪の毛 まつりごと @kaku1019
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