2-1
でもフラトンに
「はあ、歩きにくい。聖女の服って
私はめでたく聖女になり、ミドルネームに聖職者を表す『ルーチェ』を
私が聖女になってまだ一週間ぐらいだけど、たまに教会の周囲をあのブルーノという男がうろついていることがあった。本当にしつこい男だと思う。
過保護なアレク様は私を心配して
(未婚の聖女なら
歩くたびに長い裾を
やっとたどり着いた聖堂で、
「えーと……。
これは
どこかにヒントでもないかとキョロキョロしていたら、
「
低い位置から
「あっ、ルカ君。おはよう。ルカ君は
六歳の男の子が、私に
教会本部の東の建物は教育棟で、聖女から生まれた十五歳までの子どもたちが集められて、保育と教育を受ける場所になっている。私はもう十七歳だけど、年下の彼らの方が聖職者としてはずっと先輩なのだ。ルカ君と
(可愛いなぁ。クリスのちっちゃい
そのクリスは、手紙で私が聖女になったことを伝えると相当興奮したようだった。
父もクリスも読むのが大変なぐらい長い手紙を送ってきた。でも要約すると、『すごいぞ、
「そう言えば、ライラさんたちもかなり興奮してたな……」
先月に退職したいと事情を説明したら、ライラさんも先輩たちも「
ライラさんは「きっとまた会うことになるよ」とニヤニヤしていたし、先輩の一人は「幸せになってね」と泣いていて……私は首を
(ライラさんも先輩たちも、なんか様子が変だったけど……まあいいか)
廊下を進み、教室の
「
講師のエリゼオ様が入ってきた。この方は教会本部に五人いる
聖クラルテ語と神聖魔法の研究者だからか、うんちくを語り出すとすごく長い。
気になる研究課題があると長期
「今日は基本の回復魔法の一つ、《聖なる
エリゼオ様は説明しながら黒板に呪文を書き出した。
「《聖なる御手》の部分は、まず問題なく詠唱可能でしょう。注意すべきは後半の《施しを受けよ》の部分で、ここは
(うっ……なんか、プレッシャーを感じるわ。この中では私が一番年上だし……)
「次はヴィヴィさんの番だよ」
隣の子に言われ、
「《っ……聖なる御手の、施し、を受け……》」
呪文が途切れてどっと
もう何度か練習しているのに、緊張のせいかどうしても後半が
失敗した時のこの重たい疲労感も
「気にしなくていいよ。最初は
周囲の子が
授業が終わる頃には、私はへろへろになっていた。
(聖クラルテ語って、ほとんど外国語だわ……)
フラトン語は二十六文字のフラトン文字を並べて一つの単語にするけど、聖クラルテ語はたった一つの文字で《聖水》などの意味を持つ。私にとっては外国語のように難解で発音もしにくく、呪文の詠唱は失敗続きだった。
(でも
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