第14話
剣と魔法の修行の日々を続けているうちに、アーレは15歳になった。
「いよいよ来年には、私も学園に入学か――」
私は屋敷の庭で愛用の黒刀を振りながら、感慨深げにつぶやいた。
「カレン。どうやったら、もっと強くなれると思う?」
私は離れたところで立って、こちらを見ているカレンへ問いかける。
「そうですね。お・嬢・様!」
カレンが後ろからナイフを2本投げてきた。
私は1本目のナイフは当たらないのでスルーし、2本目のナイフは振り返らずに黒刀で叩き落した。私はカレンに背を向けたまま、また黒刀を振り続けて稽古を続ける。
「アーレお嬢様。そのように平然と死角から投げられたナイフを防げる人が、大勢いるとは到底思えませんが――」
「いまのは、カレンはわざわざ私に声をかけてから、ナイフを投げたではないですか」
「はぁ。お嬢様はそういう認識なのですね」
「なにがですの?」
「――!」
カレンがさらにナイフを3本投げてくる。私は振り返りながらすべて叩き落す。
カレンのあきれた顔が目に入った。
「お嬢様、いまのは声をかけませんでしたよ」
「そうですわね。ふふふっ。カレンはナイフを投げるのが上手ですわね」
「このような事を何度もさせられたら、嫌でも上達します」
「それで?」
「お嬢様はすでに強いではありませんか」
「世界で何番目くらいですか?」
「それはわかりませんが――」
「そう。わからないでしょう? もし大会に出場しても、大衆の目があるから、シーザーのように屋敷に招いた者たちは、実力を出さないでしょうしね」
「ちなみに、お嬢様は学園でも剣を学ばれるのですか?」
「そのつもりですわ」
「学ばせてもらえるのでしょうか?」
「え?」
「通常、学園では剣は男子しか学びませんからね。前例がありません」
「は? 私が学園で剣を学べないかもしれないといこと!? カレン! どうして早く言わなかったのですか!?」
「可能性の話です。お嬢様」
学園で剣が学べない? それはまずい。非常にまずい! こんなに剣の稽古をしてきたのに、愛しのセージュ様との接点がなくなるではないですか!
「カレン。可能性の話ですが、どうすれば、私が、確実に、学園で剣を学ぶことができますか?」
「可能性の話であれば、例えばですが、誰かの推薦を受けて、剣の分野で特待生として学園へ入学する、などでしょうか」
特待生! その手があったか! でも、たしかヒロインのクラリスも光属性や治癒魔法が使えることで特待生になったはず。
「カレン、学園の特待生というのは入学人数の枠は決まっているのですか? 例えば、私が特待生で入学することで、他の特待生が入学できない可能性はありますか?」
「特待生に人数の枠はなかったと思いますよ。それにお嬢様はもともと入学予定でしたから、剣の分野で特待生に推薦されたからといって、他の特待生の方が入学できなくなることはまずないでしょう」
ヨシ!
「カレン、すぐに学園で剣を学べるように特待生推薦のお願いを手配しなさい。これまで剣の稽古で屋敷に招いた方々や、すべての人脈を使うのです!」
「すべての人脈――。家庭教師のツバキ様もでしょうか?」
ツバキ先生の推薦なんて効果あるの? でも、いまは藁にもすがる思い。
「すべてです! なんとしても学園で剣を学べるように!」
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