第30話 我が家の神様に仲間入り 2
「そうそう、凛子さん」
「呼び捨てでええで」
美佳の声で、姿で「さん」づけされたら寂しいわ。
「バイト、これまでよりもやりやすくなると思うわ」
「へ?」
素っ頓狂な声を出してもた。
急に文脈飛ぶやん。
「どういうこと」
足を止めることなく聞く。
ゆっくり話したいところなんですけどね、立ち止まってる暇はないんよ。
「だって私神様だもの」
「……あー成程」
大分説明足りとらんけど。
要は、自分が神様だから、話し合いはスムーズに進むってことやろ。
「てか、やってくれるん。バイト」
「やるわよ、そりゃ」
「ほーん」
「なによその反応」
美佳の意思に影響受けまくりな気がする。
知らんけど。
「いや、ありがたいっす。また視えんくなったら困るんで」
私が今日まで幽霊さんが視えてなかったんは話してある。
「そうでしょ。力を合わせてTogetherしましょ」
「これツッコミ入れた方がいいやつ?」
「冗談よ」
即撤回されました。
えらいお茶目な神様やなっ。
「おん」
適当な返事をしてもうた。
しゃーないやん。
美女幽霊さんはノンストップで歩き続けるんやもん。
体力は限界よっ。
「疲れたわ」
美佳はインドア派やからなあ。
私よりも基礎体力は……うん。
頑張れ、神様。
「そうそう」
疲れてる割には喋り続けるな。
きっと、久しぶりに喋り相手ができて内心嬉しいんやろうなあ。
「山がパワーアップしたの理由だけれど、私が目覚めたことで、悪霊たちが暴れまわったのかもね」
「ほん」
待った。
ということは。
美佳をバイトに連れて行ったら悪霊さんを暴走させてしまうんじゃ……。
いや、やってみなわからんな。
Let's try。
「みなさん、無事に合流できそうですよ」
美女幽霊さんが指を差した先にいたのは、
「父さん母さん!」
私たちを待ってくれている大切な人たちの姿やった。
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