第7章 美佳の答え

第28話 話が脱線しすぎ

 神様と心の距離が縮まったような気がする。


 うん、悪い神様やなかったんやなぁ……元々は。


「お二人が和解されたようでなによりです」


 鋭い視線はどこへやら。


 にっこにこの美女幽霊さん。


 あっ、この笑顔は喜怒哀楽の『喜』ちゃいますね。


 若干怒ってはりますわ。


 何故かって?


 んなもん一つしかないやろ。


 本題に入るー言うて、また話脱線したんやから。


 多分。


「すんません、話を戻します」


「はい」


 ニコニコ笑顔の目の奥は笑っとらん。


 やっぱりそうやったぁぁぁぁぁぁぁぁ。


 早急に話戻しますんで許してください。


「質問があるのだけれど」


「なんすか」


 驚き。


 神様自ら質問とはなにごと。


「貴女は違うの?」


「はい?」


 文章足りてへんがな。


 意味不明や。


 首を傾ける。


「美佳さん、言葉が足りていませんよ」


 あざっす。


 ナイスフォローやで美女幽霊さん。


「あら、ごめんなさい」


 素直ぉ。


 何回でも言う。


 この神様、根本はええ神様や。


「貴女は私を祓わないの?」


「最初からそう言ってくださいよ」


 なんや。


 そんなことかいな。


「乗っ取られても美佳は美佳や言うてるやろ。それに、アンタはホンマは優しい神様や。祓うのはなぁ……私らのポリシーに反すんねん」


「ポリシー」


「おん」


 さっきから首を傾けたままや。


 可愛いなあ、おい。


「私と美佳のやり方は『話し合い』や。問答無用でお祓いすんのは本家のやり方。正直嫌いやねん。幽霊さんが可哀想やろ」


「幽霊に同情するなんて、貴女変わってるわね」


「よー言われるわ」


 言われ慣れとります。


「でも」


 相変わらず首を傾げたまんま、


「私をお祓いしないと大事な美佳さんは戻ってこないわよ」


「わかっとるわ」


 即答してもうた。


 気を悪くさせてもうたらすんません。


「お祓いしたところで、もう元の美佳には戻らんやろ。本家の言い分を認めるのは嫌やけどな、人間やなくなってもたんやもん」


「それはそうね」


 納得してもらえたようでなにより。


 こっちの覚悟は決まってんねん。


 後はアンタ次第や。


「なぁ、美佳」


「なにかしら」


「うちにおいでや」


「……はい?」


 お待たせしました。


 漸く本題です。


「こんな寂しいとこにおるより楽しいで」

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