第25話 第三関門?
「話し合いは終わったのかしら?」
退屈そうに腕を組む美佳(神様)。
「すんません」
放置しとったわ。
てか、私らの話を遮らずに待ってくれるやなんて、優しいなぁ。
待ち方かて人間らしさ全開で一ミリも怖くない……と言ったら神様怒るやろうか。
そもそも、
「あの」
「なにかしら」
「美佳と神様、どっちで呼んだらええんですか」
対話できるようなんで、直接聞いてみる。
「そうねえ」
うーん。
悩んでるっ。
真剣に考えてくれてる。
なんかおもろいわ。
「貴女が呼びやすい方で、と言いたいところだけど」
口角を上げた。
「もうこの子は貴女が愛した美佳ちゃんじゃないのよ」
「バレとったんかいな」
「私を誰だと思っているのよ」
「神様っすね」
「そうよ」
滅茶苦茶話が弾んでるぅぅぅぅぅ。
それは置いといて。
神様が言うとることはその通りや。
美佳は口角を上げて、意地悪そうな顔なんかせーへんもん。
にしても、雰囲気といい話し方といい、美女幽霊さんと気が合いそうやな。
同族嫌悪にならんかったらの話やけ……待った。
「なぁ、美女幽霊さん」
「はい、なんでしょう」
微笑みが美しいです。
じゃなくて、
「貴女って、もしかして神様やったりします?」
「……」
「無言は肯定を意味するって知ってます!?」
微笑み維持。
間違いなく神様ですねっ。
「納得やわぁ」
おかしい思たねん。
ただの幽霊が何百体もの幽霊引き連れられまっかって話よ。
普通に考えたら無理やねん。
数分前まで納得しとった自分の脳みそをぶん殴りたいわっ。
「あら、通りで雰囲気が似ていると思ったわ」
「そうですね」
微笑みから再び鋭い視線に変化。
バッチバチやな。
喧嘩が始まりそうや。
アカンアカンアカン。
「まぁまぁ、お二人とも落ち着いて」
「「……」」
ギロって両者から睨まれた。
神様はわかる。
なんで美女幽霊さ……神様にガンとばされなアカンねん。
って二人とも『神様』呼びやったらややこいな。
「あの、呼び方なんやけど」
「なんでしょう」
「なにかしら」
「美女幽霊さんは今まで通り『美女幽霊さん』で、神様は『美佳』 って呼ぶことにします」
「あら」
ちょっと驚いた顔。
うん。
表情豊かになった美佳もええな。
マイナス面やのうて、プラスな面を見つけてこ。
Let's ポジティブシンキング。
「さっきも言ったけど、この子はもう貴女の知ってる――」
「んなもんわかってます。それでも、私にとっては美佳は美佳や。乗っ取られても変わらず、大切な人や」
「……貴女」
目を見開いて、ちょっと嬉しそうに
「変わっているのね」
笑った。
「よー言われます」
ちょっとだけ心の距離が縮まった気がした。
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