第24話 第二関門

 第一関門は無事突破。


「ほな、境内に足踏み入れてみようやないかい」


「そうですね」


 美女幽霊さんの目つきが鋭くなった。


 臨戦態勢。


 カッコイイわぁ。


「行きましょう」


 三度幽霊さんたちに囲まれながら、境内に突撃。


「なぁ、美女幽霊さん」


「なんでしょう」


「セキュリティ緩すぎん?」


「……私もそう思います」


 普通に境内に入れてもたんやけど!


 第二関門すんなり突破できました。


 え、なんなんマジで。


 神様浮かれすぎというか、油断しすぎというかなんというか。


「あら」


 ここで漸く美佳――神様が顔をあげた。


「また来たの? 懲りないわね」


 本を閉じ、立ち上がった。


「おーん、禍々しいオーラ感じるのは気のせい?」


「気のせいではありませんよ」


 鋭かった目つきが更に鋭くなる美女幽霊さん。


 こっちからもどす黒いオーラを感じるんですが。


 元々が悪霊やから当たり前か。


 知らんけど。


「しかもお仲間を引き連れて。さっきから騒がしいと思っていたら、貴女たちだったのね」


「騒がしいの気づいとったんかーいっ」


 もう声をひそめる必要はない。


 バカデカボイスでツッコミ入れてもうたわ。


「え、気づいとったんになんもせんかったん?」


「結界を張っていたもの。普通の人間だったら入れないわ。貴女は霊たちに紛れて入ったのね。賢い賢い」


 謎に褒められた。


 別に嬉しくない。


「おい、結界は神社に張られとらんかったし。セキュリティがばがばでっせ」


 問題点を指摘してみる。


「そう言われればそうね。迂闊だったわ」


「……会話が成立しとるぅぅぅぅぅぅ」


 叫んでしもうた。


「凛子さん」


「すんません」


 謝罪案件ですよね。


 いやでも、びっくりするやん。


「言い訳を聞いてください」


「どうぞ」


 私には鋭い目つき向けんでほしいなぁ。


 いつなにがあってもいいように気を張っとるんやろうけど。


「この前は話通じんかったのに、態度が軟化しとるんっすよ。びっくりするのはしゃーなくないですか」


「そうですね」


 よかった。


 怒られんかった。


「美佳さんの影響だと思いますよ」


「へ?」


 素っ頓狂な声が出てしもうた。


 どういうこっちゃ。


「乗っ取られたとはいえ、美佳さんは美佳さんですから。元々強い力をお持ちですし

力が拮抗しているのだと思います」


「え、美佳ってそんなに凄いん」


「はい」


「マジかよ」


 知らんかった。


 10年一緒におったんにな。


 まぁそんな話題せんし、「私、力強いの!」って言う美佳想像できんし。


 以上、美女幽霊さんの解説でした。


 お終いおしまい。


 ちゃうちゃうちゃう。


 なんも問題解決しとらん!


 話が一歩も前進しとらんやんけアホっ。












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