第17話 ご当主様は知らない 1/2
まさか、彼がクソご当主様の息子やったやなんて。
結婚前ってことは言うまでもなくクズ若様たちの兄。
性格はお母さんに似たんかな。
お父さんに似とったら、こんな好青年に育ってないはずやもん。
知らんけど。
「因みに、彼はそのことを知りません」
「えっと」
ちょっと頭がパニック。
「すみません。言葉が足りませんでしたね。ご当主様は僕が彼の息子であることを知らないんです」
「ほう」
相槌これで合ってる?
人生経験不足しすぎてわからん。
「どうして本家に」
ナイス質問やで母さん。
「本家をぶっ潰したいんですよねぇ」
「「「……」」」
絶句。
おっとりとした喋り方やけどさ。
とんでもねぇこと言ってんぞ。
爆弾発言 part2。
驚くのにも疲れたわ。
というか慣れた、うん。
適応能力は高い方やねん。
自慢やないけど。
「横暴すぎるでしょ。分家を下に見て、自分たちを中心に世界を回っているような気でいる」
「確かに」
言えとる。
「ご当主様やご子息の態度がデカいのはまだしも、使用人も態度が大きい。仕える人の対応が伝染してるんですよね」
「わかるぅ」
もうガッツリタメ口なんは許してくれ。
母さんは苦笑してる。
いい子のフリするん疲れたねん。
「でもさ、一人でぶっ潰すんは無茶やない?」
「大丈夫です。私の母は分家の人間で、家族の協力を得られます」
「ほへー」
お母さん、分家の人なんだ。
「胸糞悪い話ですが、母は本家を訪れた際に無理やりされたようです」
「おっふ」
急ハンドルを切るから変な声出てもたやんけ。
運転とばしてくれるんは嬉しいんやけどな。
吐きそうになるから安全運転で頼むわ。
「それは最悪ですね。妊娠したことはご存じなかったんですか?」
普通に会話を続ける母さん。
尊敬する。
関係ないけど、昔父さんは走り屋で母さんは助手席で楽しんどったって言っとったな。
うん、そりゃこの丁寧な話し方とは真逆の運転に耐えられるわなっ。
流石! ……ちゃうちゃうちゃう。
脳内で話が脱線しとる。
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