第15話 味方? 2
「なぁ、ホンマに私らにできることってないんかな」
「「……」」
二人とも無言。
「せやんな。ないよな」
アカン、もう泣きそう。
というか泣いてまう。
唇を噛みしめても、一度決壊したものはどうしようもない。
「うぅ……」
泣き始めた私を慰めるために、二人は両サイドから抱きしめてくれた。
ごめん。
私のせいでこんなことになって。
ホンマにごめん。
美佳も、母さんも父さんも。
いろんな感情がごちゃ混ぜになって泣き続けていたら。
ガチャリ。
扉が突然開いた。
びっくりして顔を上げると、そこにいたのは見張りの彼。
「今屋敷の連中は庭の片づけをしています。脱出できるチャンスです。行きましょう」
「え、貴女って」
多分私は間抜け面。
母さんが戸惑った声で尋ねた。
「すみません、説明している暇はないんです。移動しながらお話しします。ほら、立って。急いで」
急かす一方で冷静な声と表情。
そのおかげか、私らはすぐに立てた。
「行きましょう」
彼の案内は罠かもしれない。
でも、
「行こう」
人を見抜く目がピカイチな父さんの力強い声。
「行きましょう」
美佳を自分の娘のように育ててくれた母さん。
「うん」
行かない、という選択肢はない。
私たちに頷き彼は、
「ついて来てください」
廊下をハイスピードで進んでいく。
はっや。
慌てて私らも早足でついていく。
どうか、彼が私らを本当に助けてくれますように。
味方でありますように。
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