第14話 燃やした意味 2

「同じことを二度言わせるな」


 母さんも私もおんなじ表情をしとると思うで。


 さっきの言いかけた言葉って『山狩り』やろ。


 勉強は苦手や。


 でもなぁ、言葉の意味は知ってんねん。


「あんたら、美佳を救う気なんて一ミリもないやろっ」


 なんなら、


「私物を燃やした意味がわかったわ。存在を消そうとしとるんやな」


 追い出したとはいえ、自分の娘やぞ。


 なんぼなんでも助けるのが親ちゃうんかい。


 せやのに。


 本家の人間どもは殺そうとしとる。


「ふんっ」


 再び鼻を鳴らしたクズ若様は、


「自業自得だ。霊を祓わず話し合いで解決するなど、本家の方針と異なる。悪霊は必ず祓わなければならない。それを守らず、自らが憑りつかれてしまうなど言語道断。生かしておいたところで、また似たようなことが起きるだけだ」


 腕を組み横柄な態度で言いやがった。


「お前なあ!」


「凛子」


「父さんっ」


 止めんといてや。


 頼むわ。


 美佳がおらんくなってもたら私はどうしたらええん。


 生きていかれへん。


 大切な人に想いを伝えんままお別れやなんて、絶対に嫌や。


「もう決まったことだ。お前たちの意思は関係ない」


 クズ若様が私らに背を向けたと同時に、

                                                                                       

「連れていけ」


「承知いたしました」


「待ってや! 頼むから殺さんといてや!」


 数人の男どもに取り押さえられ、抵抗虚しく私らは屋敷内へと引きずられていった。

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