第14話 燃やした意味 1/2

 どんどん火の勢いが増していく。


 見守る私たちと、祝詞をあげるご当主様。


「ん?」


 火を囲んでいた若様がこちらに向かってくる。


 相変わらず鋭い視線のまんま。


 ようその顔維持できんな。


 別に感心することやない。


「おい」


「いきなりなんでしょう」


 初手喧嘩腰ってどうなん。


 それに比べて父さんは大人やなあ。


 冷静に返事しとる。


 私やったら無理やわ。


 売られた喧嘩は買う派やねん。


 って、人のこと言えへんな。


「私たちにとってお前たちは寄生虫だ」


「「「……はい?」」」


 家族全員ハモったで。


 ウルトラスーパーレアやで。


「なんでやねん」


「凛子」


 小声で母さんに諫められたけど、ごめん。


 我慢の限界や。


「美佳を追い出して、うちに預けたんはそっちやんけ」


 下手に出とる。


 分家の人間やからって、調子に乗るな。


「いや、預けたんと違うな。邪魔やったから追い出したんやろうが」


「ふんっ」


「あ?」


 鼻を鳴らしただけかい。


 お前なにしに来たねん。


「それも今日までだ」


「……どういうことでしょうか」


 父さんナイス質問。


 話の文脈、というか思考回路どないなっとんねん。


 いっぺん頭の中見せてみぃ。


「今近隣の分家に召集をかけている。集まり次第、私たちと山に行く」


「ほん」


 漸くかいな。


 あれ、美佳の私物を燃やした意味は?


 考えろ。


 意味のないことはせーへんヤツらや。


 手間と時間をかけたのには必ず意味がある。


「言われていると思うが、お前たちは屋敷で監視させてもらう。山狩……捜索が終わるまで」


「聞いておりますが、今なんと仰いましたか」


 チラリと見えた父さんの表情は怒りに染まっとる。


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