第3話 DQNからの依頼

 えー本日はですね、THE 陽キャ集団の親御さん(複数名)からのご依頼です。


 心霊スポットをした結果、行ったお子様方が憑りつかれたそうです。


「めんどくせえな!」


「凛、声が大きいよ」


「いやいや、本人らおらんからええやろ」


「いやいや、お店やから」


 私らは大学生やからな。


 ドラマとか映画とかによくある『事務所』をもってない。


 借りようと思えば借りれるで。


 美佳の家から振り込まれる迷惑料を使えばな。


 母さんも父さんも「事務所構えたら?」って言うんやけどなぁ……手続きが面倒やし、なにより。


 美佳がそこに居座って出てこんくなる。


 衣食住をそこで済ませてまう。


 確実に。


 やから、私らが依頼を受けるというか、相談に乗るのはそこらへんのカフェ。


 で、今は依頼者が帰った後。


 私と美佳だけの時間。


 イェイ。


「うーん、確かに全員が憑りつかれてしもたんは面倒やね」


「やろ?」


 聞いた話を脳内で整理。


 4人の男と2人の女で肝試しに、まず廃病院へ。


 なんも起こらんかったから、次に心霊トンネルへ。


 結局二か所目でもなんも起こらんかった。


 その日は。


 異変が現れたのは翌日。


 全員がとち狂った。


 自殺未遂のオンパレード。


 みんな生きとるんが奇跡やわ。


「ホンマにアホやろ。なんではしごすんねん。居酒屋ちゃうねんぞ」


「そうやねぇ」


 頭を抱えるしかない。


 馬鹿どもがっ。


「なんで依頼受けたん」


「そりゃねえ……自分の居場所を荒らされた幽霊さんたちが可哀そうやもん」


 優しいなあ。


「まっ、それもそうか」


 幽霊側からしたら迷惑でしかないもんな。


「で、依頼料なんやけど」


「うん。凛の言う通りでええよ」


「よっしゃぁい」


 今回はね、特別。


 クソ面倒な依頼を持ってきやがった苛立ちを金額に込めたった。


 1人につき30万円。


 6人×30万円で、180万。


 ひゃっほう!


 渋られるかなぁ……思ったらあっさり承諾された。


 それだけ事態は急を要するっちゅうことや。


「馬鹿ど……大学生全員、今日の晩に依頼者の家に集められるんやろ。はよ帰って準備せな」


「そうやね」


 準備言うたって、特にすることはない。


 美佳のやり方は祓うんとちゃうもん。


 話し合いやもん。


 本家が気に入らんのはそこなんよね。


 悪霊は祓うべし。


 私は勿論美佳の味方。


 あっ、今のダジャレっぽかったな。


 ダサイわ。


「ちょっと多めに幽霊さん連れて行った方がええかなあ」


「頭数は多い方がええやろ」


 数には数で抵抗。


 我が家に居座っとる幽霊さんはみんな協力的やからな。


 全員連れて行ってもええんやけど。


 それは流石にやりすぎか?


 悩みどころやな。

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