第9話

 2子目は通常の出産で難なく生まれた。女の子だった。2人になったので忙しさは倍加した。しかし女の子は気のせいか少し楽な感じがした。慣れもあったのだろうか。

 僕は最早気合の入れっぱなしであった。かわいさも手伝ってなのか疲れを忘れるくらい一生懸命に動いた。

 毎日が記憶に残らないくらいあっという間に過ぎていった。

長男が3さいになった。保育園に入れることになり入園の日に夫婦で送っていった。

 僕は心配で少しためらったが保育園の先生に「大丈夫ですよ」と何度も言われながら息子を先生に引き渡した。

 息子は庭の片隅に走っていき3輪車のハンドルを握って少し揺さぶっていた。僕は心配でしばらくは様子を眺めていたが息子の姿を振り切るように帰途に就いた。

 家についても息子の事が気がかりでなんども保育園に様子を見にいこうとしたら妻にたしなめられて、その日は仕事が手に付かなかった。

 3時になった。保育園の迎えに夫婦で向かった。息子は門のところで先生と手をつないで立っていた。先生は「とても良い子にみんなと遊んでいましたよ」とほほ笑んで迎えてくれた。

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る