第4話 

 何日か経つと騒ぎは収まり2人の生活が徐々に始まっていった。勢いで始まった生活だったので何の計画性もなく食器すらもなかったがこれからという道筋が見えてきたのでなんら不安は感じていなかった。しかし、時がたつにつれ彼女はいろいろな思いがよぎるのか少し不安定になっていった。食事の準備や洗濯もままならず少しひきこもりぎみにもなってしまった。僕もしばらくはしかたがないとおもい彼女を連れてあちこちのお店で食べ歩きをして気分転換を図った。

 2人は家財道具も増やさず生活感のない旅人のような生活を数カ月もつづけていた。 彼女は自責の念が強かったのかなかなか普通の新婚生活のような華やいだ気分にはならずあいかわらずこもりがちな生活を送っていた

 僕はこれでは彼女の健康に支障が出てしまうと思い以前から彼女がやりたかったという水泳教室に誘った。

 彼女は水泳が今の自分には嵌ったのか毎日水泳教室に通うようになった。

 数カ月も通うと彼女は泳ぎが上達していく喜びを感じ精神的にも肉体的にも健康な状態に戻っていった。食欲は徐々に回復して自分でも料理をするようになった。以前はあまり食べなかったという肉料理も頻繁に食するようになりこころなしか体形にも少し変化が出てきた。彼女は水泳で少しずつ自分を取り戻し僕も自分の仕事のペースを少しずつ戻しつつあった。僕はこのまま普通の生活が戻り仕事も彼女も順調になることを願った。

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