第16話 海が恋しい
夜泳ぐのは危険じゃないかって?
全然危険ちゃうねん。
海咲が海の中やのに消えへんランタンを持って泳いでくれるからな。
あと、なんか夜でも海の中が日中のように、割とハッキリ見えるようになったねん。
なんでなんやろ。
意味不明。
病院行った方がええんやろか。
いや、行ったところでなんて説明すんねん。
「夜の海の中がハッキリ見えます」
だからどうした、って思わん?
私やったら思うわ。
「あー気持ちいい」
水面から顔を出し、空を見る。
「ふふっ、楽しそうだね。さくちゃん」
「おん」
傍から見てもそうなのか。
事実だからな、うん。
なんかさ、最近日常生活が苦しいねん。
嫌なことがあったり生きるのが辛いとかじゃない。
息苦しい。
文字通りの意味な。
その苦しみは、水中では消える。
私のカラダどないなってんねん。
カラダがどんどん人間から離れてもうてる気がする。
海咲に相談したら、
「毎日海で泳いでるからじゃない?」
やってさ。
うーん、そうなんやろか。
わからん。
勉強はそこそこできるんやけどなぁ……それ以外で複雑なこと考えんの苦手やねん。
私には、海咲がなにか誤魔化しているように見えた。
おばあちゃんが言っていたことを思い出す。
友人が海に連れ込まれた話。
もしかして私も……。
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