第14話 初めての友人 2

 こりゃびっくり。


 照れたように笑う山口さん。


 まさか関西出身やったやなんて。


 でも気づかんわな。


 喋ったことなかったし、小学生の頃に来たんなら、とっくにこっちのイントネーションに順応しとるんやろうし。


「久しぶりに関西弁話したわ。ここ、よそ者は歓迎されへんから」


 ガッツリ関西弁やん。


「そうやんなあ。私の場合は転校してきた時期も悪いし」


「7月上旬だったよね。関西出身って聞いてすぐに話しかけたかったんやけど、周りの目が気になってもうて……ごめん」


「別にええよ」


 ええ子やなぁ。


 謝らんでもええのに。


 わざわざ謝ってくれて。


「せやったら、なんで今日は話しかけてくれたん?」


 シンプルな疑問。


「そりゃだって」


 眼鏡をかけ、ボブカットの少女。


 垢ぬけたら絶対美人やわ。


 将来に期待やね。


「私と同じくらい日に焼けた人がいて、その人が元々話しかけたかった人なんだもん。この機会を逃しちゃったら、もう話しかけるタイミングないかなって」


「あーたしかに」


 なさそう。


 接点ないやろうし。


 共通の趣味も……あっ。


「山口さん、泳ぐん好きなん?」


「うん、大好き。中学生までスイミングスクールに通ってたんだよ。今は市民プールに行ったり、海に行くぐらいだけど」


「へぇ、私は高校まで水泳やってたわ。プールには行かんけど、山口さんとおんなじで毎日海に泳ぎに行っとった」


「因みに、他の誰かと一緒には――」


「いってない」


 せいかくには人魚さんと泳いでますけどね。


 海咲のことは内緒やし、根本的に人間ちゃうからええやろ。


 嘘にならんやろ。


 知らんけど。


「私も! 一人で行くのが好きやねん」


「やんなー。その方が自分のペースで泳げるし」


「うんうん!」


 最初に陰キャって思ってごめん。


 海咲に負けず劣らず明るく元気なええ子やん。


 私たちは先生が来るまで話し続けた。


 そして彼女は、この学校に来てから初めての友だちになった。

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