第5幕 jealousy

第14話 初めての友人 1/2

 ついに始まってしまいました。


 2学期。


 はぁ……みんな楽しそうやな。


 夏休みどこに行ったとか、美味しい物を食べたとか。


 全員元気に2学期を迎えることができてなにより。


「寝るか」


 話し相手おらんし。


 先生まだ来んし。


 腕を枕にして寝る体制に入ったところで、


「あの……清水しみずさん」


「ん?」


 顔を上げると目の前にはクラスメイトの……。


「どちらさん?」


 申し訳ない。


 誰一人としてクラスメイトの名前覚えてないねん。


「山口です」


「あぁ……」


 そういえば顔は見覚えあるわ。


 ギリギリ。


 陰キャで私と同じ3軍女子。


 ホンマ誰やねん。


 1軍とか2軍とか、スクールカーストつくったやつ。


 2軍はまだギリ教室で息ができるけど、3軍は息を殺すしかないねん。


 って、ちゃうちゃう。


「なんか用?」


「用っていうかその……」


 目をキョロキョロさせとる。


 なんや、言いにくいことなんか。


「清水さん、焼けました」


「ん? あぁ、そうやね」


 なんやこいつ。


 滅茶苦茶どうでもええことをわざわざ言いに来たんか?


 いや、


「えーっと……山口さんも真っ黒やね」


 やらかした。


 相手は「焼けたね」って濁してくれたんに、私は「真っ黒」とド直球。


「そうなんよ。毎日海水浴に行ってたらね、焼けてもうてん」


「へー」


 あれ、山口さん。


 関西弁と標準語が混じってんな。


「あっ」


 彼女は慌てて口を押えて1軍女子たちの方を見た。


 ヤツらは教室の後ろを陣取って騒いでいる。


「アイツらは別にこっち気にしてへんから聞かれてないと思うで」


「それだけじゃなくって。いきなりタメ口で――」


「タメ口でええよ。堅苦しいの嫌いやんねん」


「そっか」


 安心したのか胸をなでおろし、


「私もね、清水さんと同じなの。元々は関西で育って、小学生の頃にこっちに来たんよ」


「マジか」


「マジやで」


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