第2話 馴染めへん

 クラスのみんなは優しくしてくれる。


 ノートを貸してくれた。


 学校の規則の抜け道を教えてくれた。


 やけど、いまいち馴染めへん。


 ちゃんと『友だち』って呼べる人ができひんのよ。


 だってさ、こんな時期に転校してくるんおかしいやろ。


 なにかやらかしたか、なにか遭ったか。


 複雑な事情があるのは明白。


 ヒソヒソ教室の隅で話しとる。


 全部聞こえとるっちゅうねん。


 今すぐ「聞こえてんねんけど」って言いたいで。


 でも我慢。


 厄介事を起こしたが最後。


 このクラスに私の居場所はなくなる。


 今もあってないようなもんやけど。


 好意的に接してくれるみんなは、転校理由を聞いてこない。


 趣味もなにもかも全て。


 新手のイジメかよ。


 もっと踏み込んで来てええんやで。


 私にとって、両親の離婚はどうでもええことやし。


 かといって、自分から話すことではないし。


 はぁ……人間関係ってホンマにめんどい。


 兎に角、腫物扱いはやめてほしいわ。

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