第30話 こうだよな、やっぱ、こういうのじゃないとなっ!
――残り時間3:09
オレがこの異世界にやって来てから訪れた2つ目の街である商業都市国家『シティー』――その滞在時間はたった30分弱、しかも、大半は走っていただけだった。
そこでの目的、『トルマリン・リング』を入手して、無事に5つ目のミッションをクリアしたオレとリスティアは、次の目的地へと向かうために『シティー』を後にした。
大陸交易の要衝である『シティー』からは、東西南北に4本の大きな街道が伸びている。
どの街道も、商隊のキャラバンやら、兵士の一団やら、冒険者のパーティーやら、旅人たちやら、多くの人々が活発に行き交っている。
そして、彼らは皆、呆けたように空を見上げ、その歩みを止めていた――大きく翼を広げ悠々と飛んでいく聖獣を見るために。
「やっぱ、メチャクチャ目立つな、コイツ」
「あはは。手を振ってあげたら、勇者さま〜」
「やだよ、こっぱずかしい」
オレとリスティアを乗せたフェニックスは、北方へと続く街道に沿うようにして、次の目的地へ向けて飛んでいた。
【ミッション6】 『古代遺跡』で経験値稼ぎをせよ(所要時間30分)。
お、レベリングか。
ちなみに、さっき入手した『トルマリン・リング』、戦闘における能力強化は皆無だが、モンスターを倒したときの入手経験値が10倍になるという、またもや、ぶっ壊れアイテムだった。
しかも、最初に装着した者以外には効力がないという制約付き。
リスティアいわく、1,300万ゴールドってのは王都の一等地に豪邸が建つ値段らしいけど、うん、納得のお値段だな。
これを使って、さっきの四竜戦みたいに、またゴリゴリのパワーレベリングでもするんだろうか?
「移動にどれくらいかかるんだ?」
「ん〜、5分くらいかな〜」
『攻略ガイド』の地図を見ると、『シティー』から次の目的地『古代遺跡』までは目と鼻の先だ。
『シティー』を出て北街道を進むと、すぐに広大な森にぶつかる。そして、そのまま森の中を通り、街道の終点となるのが『古代遺跡』だ。
リスティアの言う通り、フェニックスだと5分。徒歩でも半日もかからずにたどり着ける距離だ。
そんな都合よく街の側に遺跡があるのかと疑問に思ったけど、その逆で、遺跡が先で街が後なのだ。
すなわち、『シティー』は遺跡攻略に集まる冒険者目当ての商人や、遺跡から発見される遺物を取り引きする人々が集まってできた街なのだそうだ(って『攻略ガイド』に書いてあった)。なるほどね。
まあ、砂漠のすぐ隣にでっかい森林が存在するのが不思議だけど、そこはきっと異世界クオリティーなんだろう。気にしたら負けだ。
そんなわけで、たいした会話をする間もなく、オレたちは『古代遺跡』に到着した――。
「すっ、すげええ……」
オレは目の前に広がる光景に感動していた。
見上げるほどの高さの巨大な古代遺跡。
ピラミッドのような砂岩でできたそれは、風化によって崩れた表層に幾重にも蔦が絡まり合い、歴史を感じさせられるような、まさに、ダンジョンといった貫禄の佇まいだった。
森の中だというのに、入り口前は広く切り開かれ、座り込んで休憩している冒険者たちや、その冒険者相手に商売をする商人たちのテントで賑わっていた。
フェニックスが余裕で着陸するスペースがあると言えば、その広さは伝わるだろう。
「こうだよな、やっぱ、こういうのじゃないとなっ!」
ようやく、やってきましたよ!!
今まで勇者らしい冒険が皆無だったけど、やっとカッコいいところ見せれるぜ!
初のダンジョン挑戦に向けて、オレのテンションはめっちゃ上がってた。
いや、厳密には、四竜戦でもダンジョンに行ったけど、あれはボス直前の100メートルを歩いただけだから、ノーカンだノーカン。
四竜戦でレベルアップもして、現在レベル273。
装備も勇者シリーズで全身揃えて、セットボーナスで性能値2倍。
『トルマリン・リング』で、敵を倒せば経験値10倍。
よしっ! 準備万端だっ!!
足りないのはプレイヤースキルくらいだが、そんなもんレベルとステータスの暴力で無問題っ!!!
レッツ無双だ、無双無双っ!!!!
やったるで〜〜〜!!!!!
「よし、行こうっ、今すぐ、行こうっ!」
「うんっ!」
◇◆◇◆◇◆◇
【後書き】
次回――『』
楽しんでいただけましたら、フォロー、★評価お願いしますm(_ _)m
本作品を一人でも多くの方に読んで頂きたいですので、ご協力いただければ幸いですm(_ _)m
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます