第6章 38話 夏澄の癒やし

 夏澄くんは草花ちゃんと同じ……。


 優しくてかわいくて、でも儚げな草花。

 ちょっとしたことで、すぐ消えてしまいそうだ。


 夏澄は草花よりはずっと強い。だが、どこか儚げだ。


 なにかあると、簡単に消えてしまいそうな不安感がある。


 優しく生まれた夏澄は、きっとすぐ無理をする。

 草花のように、がんばりすぎて弱り、透きとおって消えかかる夏澄の姿が目に浮かんだ。


 そんな想像を、風花はあわてて打ち消した。


「あの、スーフィアさん……」


「なあに?」

「もしかして夏澄くんも、草花ちゃんみたいに、周りを癒しすぎて、弱ることがあったんですか?」


 スーフィアはかすかに瞳を伏せた。


「ええ、旅をしている間に、本当に何度も。大変だったわよ」


「だいじょうぶでしたか?」


「まあ、なんとか。……でも、私たちはそんな夏澄が大好きで。だから、護っているのよ」


 風花はぎゅっと手を握る。

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