第6章 37話 夏澄と草花

 草花は跳ね上がりながら拍手する。


「みんな、おいでよーっ!!」


 大声で手を振ると動物たちが集まり始めた。

 うさぎに台湾りす、小型の鹿のキョンもいた。


 草花に抱っこされて、星水雨を浴びる。

 星水粒が蜜柑の葉にとまる。しろつめ草のほうにも舞っていき、草原を淡い光で照らした。


「いい笑顔ね、夏澄。きっと風花のお陰よ。風花がいると夏澄はわらうの」


「え?」

 

 風花は聞き返す。急にいわれても、そこまでは信じられない。


「本当よ。私たちではああならないの。だから、これからもよろしくね」


 言葉が見つからない。風花は黙ってうなずく。


「……あのね、夏澄は草花と同じなの。すぐに無理して自滅しかけるの。今度、夏澄がそんな風になったら、私たちと一緒に護ってね」


 スーフィアはそっと微笑む。願いのこもった瞳をしていた。

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