第6章 21話 なにもできない

 風花のとなりにいた夏澄は、風花にもう一度、守護の霊力を張る。


 その後、風花から離れて立貴の代わりに癒やしの雨を降らせる。


 飛雨とスーフィアも宙を駆けた。


 飛雨は夏澄に霊力を送る。 スーフィアは植物を癒やして回り始めた。


 風花はなにもできずに、木の周りをうろついた。


 動物たちを診ようと思いつくが、足を止め、気がつくと立ちつくしていた。


 行っても、霊力がない風花は、動物たちのためになにかできるわけではない。


 風を浴びるしろつめ草が目に映る、風花は恐る恐る手で風を防ぐ。だが、なんの効果もなかった。


 泉の近くのしろつめ草が萎れかかる。覆いかぶさっても、風を完全に止めることはできない。葉はゆっくりと萎れていった。


 何度庇おうとしても無駄だった。


 風花はなにもできず、ただ泉の周りを歩き回るだけだった。夏澄の守護の霊力で、風花だけが無傷でいた。


 わたしはなにもできない。


 風花は涙を堪えてずっとすわり込んでいた。

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