第6章 16話 優月の気配

 まぶたを閉じていた夏澄は、たまにその瞳を開ける。

 公園内に視線を巡らせる。


 だが、また瞳を閉じた。だんだんと表情に焦りの色が浮かんできた。


 また、弱い風が起こった。

 

 吹いても葉をかすかに揺らす程度の風だ。


 それでも、風に当たれば植物は萎れる。

 スーフィアが風の後を追いながら、植物を癒していた。


 だんだんと、風は弱くなっていく。 


 植物も、萎れるのは葉先だけで済むようになった。

 優月の霊力は更に弱くなっている。


 夏澄は立つ位置を変えながら、優月の気配を追うようになっていた。


 夏澄の霊力でも、近づかなければ分からないほど、優月の気配は弱くなっているのだ。

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