第6章 15話 かすかな気配
優月さん……!
風花は駆け出した。
辺りを見回す。だが、どこにも優月の姿はなかった。
公園には柔らかな朝日が差している。
優月の霊力の色に似た、優しげな朝景色だ。淡い光はいたるところにあふれているのに、優月の姿だけ見えない。
なんで……。
目に涙があふれてくる。風花はへたり込んだ。
「風花、落ち着いて……」
夏澄が風花の肩に手を置いた。
「優月はまだ精霊でいるよ。ほら……」
夏澄は左側の林を指差した。そこには弱い風が草を揺らしていた。優月の風なのだろう。
「本当に? 夏澄」
スーフィアは厳しい表情で公園内を見まわす。
「私には、もう優月の気配は読めないわ」
「かすかな気配だけど、感じるよ。優月はまだ、消えないでくれている」
「夏澄なら気配で、優月の居場所を読めるよな?」
飛雨が跳躍して、夏澄のとなりに立った。
「うん、早く捜さないと」
夏澄は一歩踏み出す。気力を集中させるように瞳を閉じた。
動かない彼の体から、揺らめくような霊力の光が発せられた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます