第6章 8話 草花の幻影

「ねえ、スーフィア、風花。草花はどうするかな? 俺じゃあ、細かいことは分からなくて」


 風花は言葉につまる。

 夏澄くんに分からないことが、わたしに分かるわけない。


「そうねえ……」


 スーフィアはしばらく考え込む。


「草花は、泣いて悲しむでしょうね。引き止めるだろうし、優月が春ヶ原を出ないっていうまで、だだをこねるんじゃないかしら」


 草花が泣く幻影は見せられないわよねと、スーフィアは優月に聞こえないように、声をひそめる。


「それよりも、なにか癒やされるような幻術はどうかしら。蓮峯山の植物とか」


「そうだよねっ」


 夏澄は瞳をきらきらとさせる。

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